ユースケースとは?ユースケース図を作成するメリットと手順も
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最終更新日:2026年07月22日

システム開発では、利用者がシステムをどのように使うのかを明確にし、必要な機能や処理を整理することが重要です。開発の初期段階で認識を共有しておくことで、手戻りの防止や品質向上につながります。
こうした場面で活用されるのが「ユースケース」です。ユースケースを整理することで、利用者の目的やシステムに求められる機能が明確になり、要件定義や設計、テスト設計まで一貫して進めやすくなります。
そこで今回は、ユースケースの概要やビジネス・ITにおける意味の違い、ユースケース図を作成するメリットや基本的な作成手順について分かりやすく紹介します。
1. ユースケースとは?

ユースケースとは、 利用者(ユーザー)がシステムを使って目的を達成するまでの流れを整理したもの、いわば利用シナリオ です。ユーザーが「誰で」「何をしたいのか」、それに対してシステムがどのような処理を行うのかを明確にすることで、必要な機能や動作を整理できます。
利用者の視点を基準にシステムの仕様を整理できるため、機能の抜け漏れや認識のずれを防ぎやすくなる点が特徴です。
要件定義や設計の段階で開発メンバーや関係者の認識を統一する役割を担っており、アジャイル開発やウォーターフォール開発など、開発手法を問わず幅広く活用されています。
1-1. ビジネスとIT・システム開発におけるユースケースの違い
ユースケースという言葉は、IT・システム開発だけでなく、ビジネスやマーケティングの分野でも使用されています。ただし、同じ「ユースケース」でも、それぞれ意味や目的が異なります。
ビジネス分野におけるユースケースは、製品やサービスが「どのような場面で活用されるのか」「どのような課題を解決できるのか」を示す利用シーンや活用事例を指すことが一般的です。営業資料や製品紹介で活用されるケースが多く、導入後のイメージを伝える役割があります。
一方、IT・システム開発におけるユースケースは、ユーザーとシステムのやり取りを整理し、必要な機能や処理を明確にするための設計手法です。
このように、ビジネス分野では「活用例」、システム開発では「利用者視点でシステムの振る舞いを整理するもの」という違いがあります。
1-2. ユースケースとテストケースの違い
ユースケースと混同されやすい用語に、「テストケース」があります。
テストケースとは、システムが仕様通りに動作するかを確認するためのテスト手順や条件をまとめたものです。入力値や操作手順、期待される結果などを整理し、品質を確認するために利用されます。
つまり、 ユースケースは要件や利用シーンを整理するためのもの、テストケースはその内容を検証するためのものという点が大きな違いです。
2. ユースケースを作成するメリット

ユースケースを作成すると、利用者がシステムをどのように利用するのかを整理できるため、要件定義から設計、開発、テストまでの各工程を円滑に進めやすくなります。
特に、関係者が共通認識をもちながら開発を進められることから、品質向上や手戻りの削減にもつながるでしょう。
ここでは、ユースケースを作成する具体的なメリットを紹介します。
2-1. ユーザー視点で必要な機能を整理できる
ユースケースは、「システムにどのような機能を実装するか」ではなく、「利用者が何を実現したいのか」を起点に整理する手法です。そのため、ユーザーの目的や行動に沿って必要な機能を検討しやすくなります。
また、利用シーンを具体的に整理することで、開発者だけでは気付きにくい要望や課題を洗い出しやすい点もメリットです。 ユーザーニーズを踏まえて要件を整理できるため、実際の利用場面に適したシステム設計につながります。
2-2. システム全体の機能や利用イメージを共有しやすい
ユースケース図を作成すると、ユーザーとシステムの関係や、システムが備える機能を視覚的に整理できます。文章だけでは伝わりにくいシステム全体の構成も把握しやすくなるため、完成イメージを共有する資料として役立ちます。
また、クライアントや開発メンバーなど、立場の異なる関係者同士でも共通認識を持ちやすくなります。 認識のずれを早い段階で解消できるため、開発途中の方向性の食い違いを防ぎやすくなるでしょう。
2-3. 要件の漏れ・認識のずれを防げる
ユースケースでは、利用者ごとの目的や操作の流れを整理しながら必要な機能を確認するため、要件の漏れや重複を発見しやすくなります。
さらに、要件定義の段階で関係者全員が内容を確認できるため、「想定していた仕様と違う」「必要な機能が不足していた」といった認識のずれも防ぎやすくなります。
結果として、 開発途中やリリース前の仕様変更が減り、手戻りの発生を抑える効果も期待できるでしょう。
2-4. テスト設計や開発を効率的に進められる
ユースケースは、要件定義だけでなく、詳細設計やテスト設計を行う際の基礎資料としても活用できます。
ユーザーの利用シナリオをもとにテストケースを作成できるため、実際の操作に即したテスト項目を整理しやすくなります。また、機能ごとの関連性も把握しやすいため、テスト漏れを防ぎながら網羅性の高いテスト設計につながります。
このように、ユースケースを開発の初期段階で整理しておくことで、後工程でも一貫した情報を活用でき、開発全体の効率化や品質向上に役立ちます。
3. 開発チームが作成する「ユースケース図」とは?

ユースケース図とは、 ユースケースを図形式で視覚的に表したUML(統一モデリング言語)の図の1つ です。一般的には、利用者の目的やシステムの動作を文章で整理したユースケースをもとに作成されます。
ユースケース図を作成することで、「誰が」「どの機能を利用するのか」を一目で把握できるようになり、要件定義や設計工程における認識共有がしやすくなります。
また、システム全体の機能や範囲を俯瞰して確認できるため、要件の漏れや認識のずれを防ぐ資料としても活用されています。
3-1. ユースケース図の構成要素
ユースケース図は、 「アクター」「ユースケース」「システム境界」「関係(リレーションシップ)」の4つの要素で構成されます。それぞれの役割を理解しておくことで、図の内容を読み取りやすくなります。
●アクター
アクターとは、システムを利用する人や外部システムを表す要素です。例えば、注文管理システムでは「購入者」「管理者」のほか、「決済システム」や「配送システム」などもアクターに含まれる場合があります。
アクターを正しく整理することで、誰がどの機能を利用するのかを明確にできます。
●ユースケース
ユースケースは、システムが提供する機能や処理を表す要素です。注文管理システムであれば、「商品を注文する」「注文履歴を確認する」「注文を承認する」といった機能がユースケースに該当します。
通常は楕円で表現され、アクターとの関係を線で結びます。
●システム境界
システム境界とは、システムが担う範囲を示す枠線です。ユースケースは枠の内側、アクターは枠の外側に配置されます。これにより、システムが提供する機能と、利用者や外部システムとの関係が分かりやすくなります。
複数のシステムが連携するプロジェクトでも、担当範囲を明確にしやすい点が特徴です。
●関係
関係は、アクターとユースケース、またはユースケース同士のつながりを表します。
最も基本となるのは、アクターがどのユースケースを利用するかを示す関連(Association)です。そのほか、複数のユースケースで共通する処理をまとめる「Include」や、特定の条件で追加される処理を表す「Extend」なども必要に応じて使用されます。
3-2. ユースケース図の作成手順
ユースケース図は、いきなり図を書き始めるのではなく、要件を整理したうえで段階的に作成することが重要です。ここでは、注文管理システムを例に一般的な作成手順を紹介します。
【STEP(1)アクター(システム利用者)を洗い出す】
まずは、システムを利用する人や外部システムを整理します。
注文管理システムであれば、「購入者」「管理者」「決済システム」「配送システム」などがアクターとして考えられます。システムと関わる対象を漏れなく洗い出すことが重要です。
【STEP(2)ユースケース(システムの機能)を整理する】
次に、アクターが利用する機能を整理します。
例えば、「商品を注文する」「注文履歴を確認する」「注文を承認する」「配送情報を登録する」など、利用者の目的に沿って必要な機能を洗い出します。関連する機能をまとめて整理すると、図全体が見やすくなります。
【STEP(3)アクターとユースケースを関連付ける】
整理したアクターとユースケースを線で結び、どの利用者がどの機能を利用するのかを表現します。
例えば、「購入者」は「商品を注文する」「注文履歴を確認する」と関連付け、「管理者」は「注文を承認する」「配送情報を登録する」と関連付けることで、利用者ごとの役割が明確になります。
【STEP(4)パッケージやノートを活用して図全体を整理する】
最後に、必要に応じてパッケージやノートを利用し、図全体を整理します。
例えば、「注文管理」「配送管理」など機能ごとにグループ化すると、ユースケースが多いシステムでも全体像を把握しやすくなります。
また、特定の条件や補足事項がある場合はノートを追加することで、図だけでは伝わりにくい内容も共有しやすくなり、関係者全員が理解しやすくなるでしょう。
まとめ
ユースケースは、利用者の目的やシステムに必要な機能を整理し、要件定義から設計、テストまでの認識を統一するために役立つ利用シナリオです。
ユースケース図を作成・活用すれば、システム全体の構成や機能を視覚的に共有できるため、要件の漏れや手戻りの防止にもつながるでしょう。
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