最終更新日:2026年05月19日

企業の業務効率化や競争力向上を図るうえで、ITシステムの導入は欠かせない要素となっています。自社に合ったシステムを構築することで、業務の最適化や生産性の向上につながるケースも少なくありません。

さまざまな開発手法の中でも、特に自由度の高い開発手法として知られているのが「スクラッチ開発」です。既存のパッケージソフトとは異なり、自社の業務に合わせてシステムを一から構築できます。一方で、コストや開発期間などの面で慎重な判断が求められる点も特徴です。

そこで今回は、スクラッチ開発の基本的な概要から、メリット・デメリット、向いているケースまで分かりやすく解説します。

 

1. スクラッチ開発とは?

1. スクラッチ開発とは?

スクラッチ開発とは、既存のソフトウェアやパッケージ製品を利用せず、システムやソフトウェアをゼロからオーダーメイドで構築する開発手法 のことです。

要件定義から設計、開発までを一貫して行い、企業ごとの業務やニーズに最適化されたシステムを実現できる点が特徴です。既存のフレームワークやライブラリを一部活用する場合もありますが、基本的には一からプログラムを組み上げていきます。

自由度が高い反面、開発には時間やコストがかかる傾向があります。そのため、業務に強くフィットしたシステムを構築したい場合に選ばれることが多いです。

なお、スクラッチ開発の中でも、 既存のテンプレートや機能を一切使用せず、完全にゼロから構築する方法は「フルスクラッチ開発」と呼ばれます。 通常のスクラッチ開発よりもさらに自由度が高い一方で、開発負担も大きくなる点が特徴です。

 

1-1. スクラッチ開発とパッケージ開発の違い

スクラッチ開発と比較されやすい開発手法に「パッケージ開発」があります。

パッケージ開発とは、 あらかじめ用意されたソフトウェアをベースに、設定変更や一部のカスタマイズを加えて導入する方法 です。

スクラッチ開発がゼロからシステムを構築するのに対し、パッケージ開発は既存の仕組みを活用する点が大きな違いと言えます。パッケージ開発は開発期間やコストを抑えやすい反面、カスタマイズの範囲に制限があり、自社の業務に完全に適合しない場合もあります。

一方でスクラッチ開発は、時間やコストはかかるものの、業務フローに合わせた柔軟な設計が可能です。このように、両者は「自由度」と「コスト・スピード」のバランスに違いがあるため、自社の目的や要件に応じて適切な手法を選ぶことが重要です。

 

2. スクラッチ開発の流れ・進め方

スクラッチ開発は、以下のような流れで段階的に進められます。

STEP(1)要件定義
システムで実現したい内容や課題を整理し、必要な機能や条件を明確にする工程です。開発全体の方向性を決める重要なステップとなります。

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STEP(2)設計
要件定義の内容をもとに、システムの構造や画面仕様、データの扱い方などを具体的に設計します。開発の土台となる工程です。

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STEP(3)プログラミング
設計書に基づき、実際にコードを書いてシステムを構築していきます。機能を形にしていく中核的な工程と言えます。
STEP(4)テスト
完成したシステムが仕様通りに動作するかを検証します。不具合の修正や品質の確認を行い、実運用に備えます。
STEP(5)運用・保守
リリース後は、安定稼働のための監視や不具合対応、機能改善などを継続的に行います。長期的な活用に欠かせない工程です。

 

3. スクラッチ開発のメリット

3. スクラッチ開発のメリット

スクラッチ開発は、既存のシステムに依存せずゼロから構築できる点から、企業の業務や戦略に合わせた柔軟なシステム開発が可能です。

コストや期間の負担はあるものの、それらを上回るメリットがあるため、特定の要件を満たしたい場合に選ばれるケースも多く見られます。

ここからは、スクラッチ開発のメリットを3つ紹介します。

 

3-1. 自由度が高く最適なシステムを構築できる

スクラッチ開発の最大のメリットは、自由度の高さにあります。既存のパッケージに制約されることなく、自社の業務フローや運用に合わせてシステムを設計できるため、無駄のない最適な仕組みを構築できます。

例えば、独自の業務プロセスやサービスモデルをもつ企業でも、それに合わせた機能や画面設計を実現できる点が強みです。結果として、 業務効率の向上や競合との差別化につながるシステムを構築しやすくなります。

 

3-2. 拡張性・柔軟性に優れている

スクラッチ開発で構築したシステムは、将来的な機能追加や仕様変更にも柔軟に対応しやすいという特徴があります。事業の成長や環境の変化に応じて、必要な機能を段階的に追加していくことが可能です。

例えば、ユーザー数の増加や新サービスの展開に合わせてシステムを拡張するなど、長期的な運用を見据えた設計ができます。こうした柔軟性により、 システムを継続的に改善しながら活用できる点がメリットです。

 

3-3. 長期的に安定して利用できる

スクラッチ開発で構築したシステムは、自社仕様で開発されているため、外部サービスの提供終了などの影響を受けにくく、長期的に安定して利用しやすい点もメリットです。

パッケージ製品の場合、提供元の都合でサポートが終了するリスクがありますが、スクラッチ開発であれば自社で管理・運用を続けることが可能です。 適切な保守体制を整えることで、長期間にわたって安定したシステム運用を実現できるでしょう。

 

4. スクラッチ開発のデメリット

4. スクラッチ開発のデメリット

スクラッチ開発は自由度の高さや柔軟性といったメリットがある一方で、導入にあたっては注意すべきデメリットも存在します。特にコストや期間、開発体制に関する課題は、事前に理解しておかなければ大きなリスクにつながる可能性もあるでしょう。

そこで次に、スクラッチ開発の主なデメリットを3つ紹介します。

 

4-1. 開発コストが高額になりやすい

スクラッチ開発はゼロから設計・開発を行うため、パッケージ開発と比べて初期費用が高額になりやすい傾向があります。要件定義から設計、プログラミング、テストまでのすべての工程に工数がかかるため、人件費が大きく膨らむことが主な要因です。

特に、複雑な機能や高度な仕様を求める場合は、開発規模が大きくなり、数千万円以上の投資が必要になるケースもあります。そのため、 十分な予算確保と費用対効果の検討が欠かせません。

 

4-2. 開発期間が長くスピード感に欠ける

スクラッチ開発は、要件定義からすべての工程を一から進める必要があるため、開発期間が長くなりやすい点もデメリットです。一般的には数ヶ月から年単位の期間を要することもあり、短期間での導入には向いていません。

また、 開発期間が長期化することで、その間に事業環境やニーズが変化し、当初の要件とズレが生じるリスクもあります。 スピード感が求められるビジネスにおいては、この点が大きな課題となる可能性があります。

 

4-3. 技術力やベンダー選びに大きく依存する

スクラッチ開発では、システムの品質や完成度が開発会社やエンジニアの技術力に大きく左右されます。要件を正確に理解し、それをシステムとして実現できる設計力・開発力が求められるため、ベンダー選びが非常に重要です。

しかし、各社の技術力や対応力を見極めることは容易ではなく、選定を誤ると開発の遅延や品質低下につながるリスクがあります。そのため、 過去の実績や得意分野を十分に確認したうえで、信頼できるパートナーを選ぶことが不可欠 です。

 

5. スクラッチ開発が向いているケース

スクラッチ開発が向いているケースとしては、主に下記が挙げられます。

  • 開発予算や期間に余裕がある
  • コア業務で使用するシステムや独自の業務フローが多い
  • 運用後に定期的な機能追加や改修の発生が見込まれる

スクラッチ開発は、 コストや開発期間に余裕があり、自社の要件を細かく反映したい場合に適した手法 です。既存システムに業務を合わせるのではなく、自社の業務フローに最適化したシステムを構築できる点が大きな特徴と言えます。

また、将来的な機能追加や仕様変更にも柔軟に対応しやすいため、中長期的にシステムを活用していきたい企業にも向いています。独自性や拡張性を重視する場合には、有力な選択肢となるでしょう。

 

まとめ

スクラッチ開発は、自社の業務に最適化したシステムを構築できる一方で、コストや開発期間、開発体制などを踏まえた慎重な判断が求められる手法です。メリット・デメリットを正しく理解し、自社の要件や将来的な運用方針に照らして適切に選択することが重要と言えます。

また、スクラッチ開発では開発後の品質担保や運用効率も重要なポイントです。特にテスト工程の効率化や精度向上は、システムの安定運用に直結すると言っても過言ではありません。

ATgoでは、ローコードで手軽に導入できるテスト自動化ツールを提供しています。システム開発の品質向上や開発・運用の負担を軽減させたいという場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

監修:RGS株式会社
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RGS株式会社 ATgoチーム

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