最終更新日:2024年03月05日 / 投稿日:2024年01月26日

システム・ソフトウェア開発の現場でよく聞く手法として、アジャイル開発やスクラム開発が挙げられます。この2つは似た意味を持つこともあり、混合しやすい言葉です。実際は、アジャイル開発の手法の1つがスクラム開発であり、効率的にシステム開発を行うときに欠かせない手法です。

当記事では、アジャイル開発とスクラム開発について詳しく解説します。効率的なシステム開発を行いたい方はぜひ当記事を参考にしてください。

 

1.アジャイル開発とスクラム開発の関係性は?

アジャイル開発とスクラム開発の関係性は?

スクラム開発とは、アジャイル開発における手法の1つです。アジャイル開発は複数の手法を組み合わせて取り組むことが多く、手法の1つであるスクラム開発は製品の完成度を向上させるために欠かせません。

スクラム開発は、機能ごとに1~4週間程度で開発工程を組み、複数回繰り返して完成を目指す手法です。各開発工程はスプリントと呼び、最初に企画や進め方をミーティングで決めた後、開発や評価を行います。

アジャイル開発の手法は、スクラム開発のほかにもXPやFDDなど複数あります。XPやFDDなどとの違いは使用される頻度の差で、もっとも多く取り入れられる手法がスクラム開発です。メンバー間のコミュニケーションに重きをおいており、開発期間中は毎日ミーティングが行われます。

 

2.アジャイル開発とは?

スクラム開発との関係性を把握するためには、まずアジャイル開発の特徴を理解しておく必要があります。アジャイルとは「素早い」という意味で、アジャイル開発とは効率的にソフトウェアやシステムを開発することを目指す考え方です。

名前の通り、アジャイル開発はサービスインまでの期間が短い点が特徴です。機能単位で短い開発工程を繰り返し、最終的に集合体として1つのシステムを完成させます。それぞれの開発工程が小さいサイクルかつ変化があることを前提に組まれているため、仕様や要件の変更へ柔軟に対応できるメリットがあります。

近年はアジャイル開発の柔軟性の高さが注目され、従来のウォーターフォール開発に代わって主流となりつつある開発手法です。

 

2-1.ウォーターフォール開発との違い

ウォーターフォール開発との違い

ウォーターフォール開発は、昔から取り入れられている手法です。エンジニアを適切に配置し、予算やスケジュールの管理を適正化するための手法として誕生しました。

細かな機能単位で独立した開発工程を組むアジャイル開発とは異なり、ウォーターフォール開発は上流工程から下流工程へ段階的に進めます。ウォーターフォール開発は、最初に要件定義や機能設計を行い、開発や実装、テストや運用までの一連の作業を1回のみ行う前提で取り組みます。途中で仕様・要件変更が起こることは想定していません。開発するソフトウェアやシステムも、企画したすべての開発が完了してから顧客へ提供されます。

一方、アジャイル開発は、完成した機能から随時提供される手法です。ウォーターフォール開発とは、仕様・要件変更に対する柔軟さや、顧客に提供されるタイミングが大きく異なります。

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2-2.アジャイル開発が向いている場面

現在も、用途によってはウォーターフォール開発が取り入れられることもあります。開発の種類や重視する要素に合わせて、従来のウォーターフォール開発とアジャイル開発を使い分けましょう。

アジャイル開発が向いている場面は、たとえば下記の2パターンです。

  • 開発中に仕様の変更や追加がある場合
  • 要望に細かく対応する必要がある場合

たとえばモバイル関連のシステムやソフトウェアを開発するとき、ゴールへ辿り着く過程でユーザーニーズの変化が起こることも考慮しなくてはなりません。プロジェクト進行中に技術革新で新たな機能やUIが主流となる可能性もあり、状況に応じて仕様の変更や追加がしやすいアジャイル開発が適しています。

また、顧客によっては機能やUIへ細かな要望が生じることもあります。アジャイル開発なら、一部のみの仕様変更など複雑な要求への対応も容易です。

 

3.スクラム開発とは?

スクラム開発とは?

スクラム開発は、チームを組んで開発工程に取り組む手法です。ラグビーのスクラムにちなんで名付けられており、スポーツのように細かなコミュニケーションを取りつつ開発を進めます。

スクラム開発の理想的な形態は3~10人程度の少人数チームです。「透明性」「検査」「適応」の3つを柱に、スクラムマスターとプロダクトオーナーの指示に従ってプロジェクトを遂行します。

「透明性」とは、開発状況や事実が正確に分かる仕組みや環境をさします。「検査」はプロジェクトの進捗やメンバーの状態を適宜確認することをさし、「適応」は現状に応じてプロセスやプロダクトの見直しを行うことです。

1~4週間程度の小規模なスプリントごとに計画を立てて取り組み、毎日のミーティングや定期的なフィードバックで開発チーム全体の進捗を確認しながら開発します。

 

3-1.スクラム開発のメリット

アジャイル開発を行うとき、メインの手法としてスクラム開発を選ぶと、さまざまなメリットが期待できます。

スクラム開発がもたらす主なメリットは、下記の4つです。

・作業を効率化できる

各スプリントでメンバーごとにタスクが振り分けられるため、手持無沙汰になる人材が出にくくなります。個々の得意分野やスキルに応じた役割を割り振れば、一部の作業が滞る心配もありません。

・早期リリースができる

優先度の高い開発から集中して取り組むため、早期リリースに対応できます。まず主要部分をリリースしてから、評価内容を参考に拡張や改善を行いたいというプロジェクトに最適です。

・仕様変更に対応できる

スクラム開発もほかのアジャイル開発の手法と同じく、仕様変更を前提としています。毎日のミーティングや定期的なフィードバックを行うため、開発中の仕様変更に対しても柔軟に対応できます。

・メンバーのスキル向上につながる

コミュニケーションを重視するスクラム開発は、問題の発見のみならず共有も迅速です。個々でタスクに取り組みつつ、問題点はチームメンバーの知見も参考にでき、成果を出すたびにスキル向上が期待できます。

上記に加えて、スプリントごとに工数見積もりを行うことで精度の高いスケジューリングができるメリットもあります。

 

4.スクラム開発の流れ

スクラム開発を大まかに分けると、5つの工程で成り立っています。スクラム開発全体の流れと、各工程の主な作業内容は下記の通りです。

(1)プロダクトバックログの作成まずは、プロダクトオーナーの主動で作業に優先順位をつける必要があります。プロダクトバックログとは、作業内容に優先順位をつけたリストのことです。開発する製品について機能や改善要素を洗い出し、開発メンバーの意見も参考にしつつ優先順位をつけます。
(2)スプリント計画完成したプロダクトバックログをもとに、開発メンバーの誰がどの作業を担当するのか、詳しいタスクやスケジュールを決定します。フレームワークで期間内に完了させる工程を明確化することで、精度の高い工数見積もりが可能です。
(3)デイリースクラムスプリント期間中は、毎日デイリースクラムを行います。デイリースクラムとはミーティングのことで、各メンバーの進捗や抱えている問題を共有します。毎日5~15分程度、同じ時刻に行います。
(4)スプリントレビュースプリント期間が終盤にさしかかるタイミングで、スプリントレビューを行います。スプリントレビューとは、主要な関係者が実装した機能に対して行う、定義した基準を満たしているか評価する作業です。プロダクトオーナーやステークホルダーも、スプリントレビューに参加します。
(5)レトロスペクティブスプリントレトロスペクティブとも呼ばれる、開発工程の振り返りミーティングです。スプリント期間が終了するごとに行い、今回の良かった点・悪かった点をメンバー同士で話し合います。洗い出した課題に対しては、要因や改善策を探り、次回のスプリントに生かします。

スプリントレビューは、プロジェクトによっては営業担当者や顧客が参加することもある重大な工程です。関係者の前で実際にデモンストレーションを行い、想定通りの動作ができるか確認します。なんらかの問題が発生すればリリース予定にも影響するため、開発段階での早期発見や対応が求められます。

スプリント期間終了後のレトロスペクティブも、各メンバーの積極的な参加が大切です。次回のスプリントの目標を決めることもあり、プロジェクトの精度を上げるためにはメンバー編成そのものも慎重に行う必要があります。

 

まとめ

アジャイル開発とは機能単位で開発工程を繰り返し、柔軟で素早い開発を目指す方法です。アジャイル開発にはさまざまな手法があり、最も使われる頻度が高いのがスクラム開発です。

スクラム開発では、少人数のチームで毎日ミーティングを行いながら開発を進めます。早期リリースや開発途中での仕様変更が必要な場合は、スクラム開発の手法を取ると効率的なシステム開発を行えます。

効率的にシステム開発を行いたい場合は、テスト自動化ツールを導入するのも一案です。テスト工数を削減することで、開発をスムーズに行えるだけでなく、システムの品質も担保できます。

監修:六元素情報システム株式会社
監修
六元素情報システム株式会社 ATgoチーム

六元素情報システムは、システム開発現場で培った高い技術力と実務経験を持つ企業です。その知見を活かして開発したテスト自動化ツールATgo(特許6830701号)の提供を通して、日本のシステム開発における生産性向上と品質向上に貢献します。

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