テスト自動化とは?テストの種類と自動化のメリット&デメリット
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最終更新日:2025年03月26日 / 投稿日:2022年07月19日

テストの自動化は、効率を重視したいソフトウェア開発の現場で欠かせないものです。当記事では、テスト自動化の概要やメリット・デメリットを解説します。成功のポイントも把握して、テスト自動化を実施する際の成功確率を高めましょう。
目次
昨今では、日常生活やビジネスのさまざまなシーンでソフトウェアが利用されています。
ソフトウェア開発に求められるクオリティも年々上がっていることから、開発現場ではテスト自動化への注目が高まっています。
しかし、テスト自動化を導入するだけで、必ずしもメリットを得られるわけではありません。
当記事では、テスト自動化の概要やメリット・デメリットに加え、自動化を成功させるためのポイントを解説します。
テスト自動化の導入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
1.テスト自動化とは?代表的な3つのテストとの5つの分類
テスト自動化とは、ソフトウェアのテストにおける作業の全部または一部について、テスト用ソフトウェアを用いて自動化することです。基本的にはテストの「実行」にあたる部分が自動化の対象となるので、「ソフトウェアのテスト実行を自動化すること」という意味で使われる場合もあります。
テスト自動化には、テストの目的やソフトウェアの性質によってさまざまな種類があります。テスト自動化の代表的な種類は以下の3つです。
単体テスト (ユニットテスト) | 対象となるソースコードに合わせてテストコードを設計・実行してテストを行います。 テスト対象となるプログラムを直接実行できるので、システムが意図した通りに 動いているかを確認する際に向いている方法です。 |
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APIテスト | アプリやモジュール間の接続をテストする方法で、主に結合テストに使用されます。 |
UIテスト | ソフトウェアのユーザーが実際に行う操作を再現し、一連の動作確認をするテストです。 ユーザーインタフェース、E2Eテストなどに使用します。 |
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1-1 テスト自動化が注目を集めている背景
テスト自動化が注目を集めている背景には、以下のような理由があります。
● スピード納品の定着
近年ではシステム開発のスピード感が重視され、短納期のプロジェクトが増加しています。
テストにかける時間を最小限に抑えたいという開発者のニーズから、作業効率の向上を狙える
テスト自動化が注目されるようになりました。
● アジャイル開発の浸透
従来までは段階的な開発方法である「ウォーターフォール型」が一般的でしたが、最近では
開発工程を短サイクルで何度も繰り返す「アジャイル開発」の普及が加速しています。
アジャイル開発ではテストを複数回行うことになるので、自動化によって手間を省くことが可能です。
● ソフトウェアの高品質化
さまざまな場面においてソフトウェアが広く普及している現在、ソフトウェアに求められる品質は
より一層高くなっています。
テスト自動化は、時間やコストをかけずにクオリティを上げる手法として
注目が集まっています。
1-2 テスト自動化の8原則とは?
テスト自動化の基本となる8原則の内容は、下記の通りです。
- 手動テストはなくならない
- 手動でおこなって効果のないテストを自動化しても無駄である
- 自動テストは書いたことしかテストしない
- テスト自動化の効用はコスト削減だけではない
- 自動テストシステムの開発は継続的におこなうものである
- 自動化検討はプロジェクト初期から
- 自動テストで新種のバグが見つかることは稀である
- テスト結果分析という新たなタスクが生まれる
ソフトウェアの品質向上を目指す上で、ユーザー側の使いやすさや満足度は欠かせない要素です。
しかし、自動テストではユーザビリティの正確な判断ができません。今後さらにテスト自動化が進んでも、
手動テストが完全になくなることはないでしょう。
また、テスト自動化を導入するのであれば、新たなテストケースの追加や修正など、テスト用
ソフトウェアの開発作業も継続的に行うことが必要です。導入後のメンテナンスを重ねることで、
自動テストの有用性がアップします。
1-3 テスト自動化の5つの分類と解説
1.テストレベルによる分類
ソフトウェア開発の段階に応じて、テスト対象を明確に分けることで、効率的に不具合を発見できます。
単体テスト (ユニットテスト) | 個々の関数やメソッドを検証するテスト。【自動化のポイント】テストコードを開発と並行して作成し、プルリクエスト時やビルド時に自動実行すると効果的です。 |
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結合テスト (インテグレーションテスト) | 複数のモジュールが正しく連携するかを確認するテスト。【自動化のポイント】API通信やデータベース接続など、外部システムとの連携部分を重点的に自動化すると良いでしょう。 |
システムテスト | システム全体が要件通りに動作するかを確認するテスト。【自動化のポイント】E2Eテストを導入して、ユーザー操作をシミュレーションします。 |
受け入れテスト | ユーザー要件を満たしているかを確認するテスト。【自動化のポイント】シナリオベースで自動化するのが一般的ですが、完全に自動化せず一部手動で確認することもあります。 |
2.テストタイプによる分類
テストの目的ごとに分類し、特定の品質要件を満たしているか確認します。
機能テスト | システムの機能が期待通りに動作するかを確認。 関連ページ:受け入れテストとは? |
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非機能テスト | 複数のモジュールが正しく連携するかを確認するテスト。 |
回帰テスト (リグレッションテスト) | 新しい変更によって既存の機能に影響がないかを確認。 |
E2Eテスト | ユーザー視点でのシステム全体の動作確認を行うテスト。 SeleniumやCypressなどで自動化されることが多いです。 |
3.実行タイミングによる分類
テストの実行タイミングを自動化の観点から分類すると、開発サイクルのどのフェーズでテストを行うか明確になります。
ビルド時テスト | コードのビルド時に自動実行されるテスト(例:CI/CDパイプライン)。コード変更時に自動的に実行することで、早期に不具合を検出できます。 |
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デプロイ前テスト | 本番環境にリリースする前に行うテスト。 |
本番環境テスト | 本番環境でも定期的に動作確認を行うテスト。本番環境でも定期的に自動テストを行うことで、障害発生時に即座に検知します。 |
4.自動化手法による分類
自動化をどのように設計・実装するかの観点から分類します。
スクリプトベース | テストスクリプトを作成し、自動でテストを実行。もっとも一般的な手法です。 |
---|---|
キーワード駆動(Keyword-Driven) | テスト手順をキーワードとして定義し、組み合わせて自動化。 テスト担当者がコードを書かずに自動化できる点がメリットです。 |
データ駆動(Data-Driven) | 複数のデータセットを使って同じテストケースを繰り返し実行。 |
モデルベース(Model-Based) | システムの動作モデルを使ってテストを設計・実行。 |
テスト自動化ツール「ATgo」はスクリプトベースのため、テスト対象や開発環境に合わせた柔軟なテストケースの作成が可能です。一方、レコーディングブラウザで画面を操作することで、コーディング不要でテストスクリプトを作れるので、学習コストが低く初心者テスターに優しい使い心地。
プログラミング経験がない初心者はローコードで簡単に、エンジニアはスクリプトで自在にカスタマイズでき、チーム全体でソフトウェアの品質改善に取り組めます。
5.ツールによる分類
自動化には専用のツールが必要で、テストの対象や手法によって使うツールが異なります。
UIテストツール | ユーザーインターフェースの自動操作を行う Selenium、Playwright、Cypress、ATgo など。 |
---|---|
APIテストツール | APIのリクエスト送信とレスポンス確認を自動化する Postman、RestAssured、Karate、ATgo など。 |
パフォーマンステストツール | 負荷試験やストレステストを行う JMeter、Gatling、k6 など。 |
統合ツール(CI/CD) | 自動テストを継続的インテグレーションに組み込む Jenkins、GitHub Actions、GitLab CI など。 |
テスト自動化を成功させるためには、これらの分類を理解し、自社の開発プロセスに合った手法やツールを選択することが重要です。どの分類に注力するかで、自動化戦略は大きく変わります。
テスト自動化ツール「ATgo」は、UIテスト・APIテストの実行と比較検証を自動化し、システム開発における工数削減と品質確保をサポートします。
2 テスト自動化のメリット・デメリット
テスト自動化にはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。
テスト自動化を導入する際には過度な期待を寄せず、メリット・デメリットのそれぞれを
十分に理解した上で利用しましょう。
以下では、テスト自動化のメリット・デメリットについて解説します。
2-1 メリット1 : コストを抑えたリスクヘッジができる
ソフトウェア全体の品質保証を手動テストによって行う場合は、多額の費用が必要です。
そのため、多くのソフトウェアでは保証範囲が限定されていますが、保証範囲外のトラブルが
影響して重大な障害を引き起こした事例もあります。
テスト自動化を導入すれば、ソフトウェア全体の品質保証が
低コストで実現できます。また、手動テストと比較するとテストにかかる時間も
大幅に短縮できるので、作業効率を上げられる点もメリットの1つです。
2-2 メリット2 : 問題点をすぐに発見できる
ソースコードを作成するたびに自動テストを行うことで、問題点をすぐに検出できます。
開発作業のプロセスの1つとして自動テストの実行を組み込んでおけば、不具合を
見落とすことなく早急な対応が可能です。
手動テストはテスト自体も人間の手で実施するので、ミスが発生しやすいという課題があります。
時間とコストをかけてテストを行っても、必要なテスト項目が抜けていたり、
問題を見落としたりしては意味がありません。自動テストを活用することで、
正確な作業によって問題点の早期発見が実現します。
2-3 デメリット1 : かえってコストが増える可能性がある
テスト自動化によるコスト削減は、高速開発が求められる現場で品質保証にも力を入れたい場合や、
保証範囲外とされていた部分を効率的にテストしたい場合に効果を発揮します。
テスト自動化の導入にもコストが必要であり、テスト用ソフトウェアの開発から完成後のメンテナンス
費用まで、その内容はさまざまです。そのため、導入によるメリットが少ないケースでは、テスト自動化が
かえってコストを増大させる要因にもなり得ます。
2-4 デメリット2:保守運用が前提となる
自動テストは開発したら終わりではなく、導入後にもメンテナンスやアップデートが必要です。たとえば、テスト対象となるソフトウェアに新機能が追加された場合は、新機能に対応する新たなテスト内容を追加しなければなりません。
自動テストの開発・導入のみに着目していると、テスト対象のソフトウェアにアップデートが行われた場合などに、自動テストをうまく利用できなくなります。開発当初のテストコードだけが残らないよう、導入時に保守運用の体制を整えておくことが必要です。
3 テスト自動化を成功させるためのポイント
テスト自動化は必ずしもメリットを得られるわけではなく、導入が失敗に終わるケースもあります。失敗を防ぐためには、事前に成功のためのポイントを把握しておくことが重要です。
ここでは、テスト自動化を成功させるための3つのポイントについて詳しく解説します。
3-1 テスト自動化の目的を決める
テスト自動化のメリットは数多くありますが、実際に導入の成果を得られるかどうかは、それぞれのケースや環境ごとに異なります。「コストカットが叶う」「テスト業務を効率化できる」のような漠然としたイメージで導入を決めず、自動化の目的を明確にしましょう。
導入前の事前準備として、テスト自動化によって達成したい目標は何か、そのためにどのようなプロセスを踏むべきかなど、具体的な計画を立てるようにしてください。また「5年以内に自動化を完了する」のように、自動化そのものが目標とならないよう注意しましょう。
3-2 すべてを自動化しようとしない
テスト自動化の導入にあたって、自動化する範囲の選定は非常に重要です。すべてを自動化の対象とすればよいわけでなく、目的に合わせた最適な範囲を検討する必要があります。
たとえば、コストカットを目指して自動化を導入する場合は、毎回同じ手順で実施するテストや、頻繁に行うテストのみを対象とすることが効果的です。コスト削減のメリットを得やすい範囲に絞ることで、失敗のリスクを低くできます。
3-3 目的に適したテスト自動化ツールを選ぶ
テスト自動化ツールにはさまざまな種類があり、それぞれで特徴や得意分野も異なります。
自動化を成功させるためには複数のツールを比較して、目的に合った製品を見極めることが必要です。人気の高いツールが自社のソフトウェアに適しているという保証はないので、体験版を利用して相性を確認しておくことがポイントです。
また、自動化の過程が簡単であることや正確な結果を得られることはもちろん、新しいOSバージョンへの対応スピード、他ツールとの連携の柔軟性などにも注目しましょう。
まとめ
テスト自動化とは、ソフトウェアテスト作業の全部または一部を自動化することです。テスト自動化は、ソフトウェア開発の納期が短くなったこと、求められるクオリティが高くなったことなどを背景に注目を集めています。
テスト自動化を導入するメリットは、低コストでのリスクヘッジを実現できること、問題点の早期発見が可能であることです。しかし、自動化の導入はその後の保守運用が前提であり、導入方法によってはかえってコストが増大する可能性も考えられます。
テスト自動化を成功させるためには、目的を明確にした上で自動化範囲を決定し、自社ソフトウェアに最適なツールを選びましょう。