最終更新日:2025年03月24日 / 投稿日:2022年08月31日

システム開発のプロジェクトに携わると耳にするリグレッションテストは、システムの品質を保つ重大な役割を担っています。リグレッションテストは何度も繰り返し行われることが多く、作業工数とコストがかかります。そのため、品質を保ったまま、テストの負担を軽減したいと思う方は多いのではないでしょうか。
この記事では、リグレッションテストの概要や、省略することで起こるリスク、効率よくテストを実施するポイントを紹介します。

 

1.リグレッションテストとは?

リグレッションテストとは、バグなどの不具合が発生し、プログラムの一部を修正した後に、プログラム全体が正常に作動するか確認するテストです。別名「回帰テスト」や「退行テスト」とも呼ばれています。

リグレッションテストの目的は、顧客の仕様書通りのシステムを確実に納品することです。

プログラムとは、システムを動かす指示書のことです。プログラムの一部を変更すると、新たに別の箇所でバグが発生し、システムに指示が通らなくなることがあります。プログラムを変更する場合は、影響範囲を確認し、必ずリグレッションテストを実施する必要があります。

 

1-1.リグレッションテストとデグレーションとの違い

リグレッションテストと一緒に使用されることの多い言葉に「デグレーション」があり、それぞれの違いは、「検証方法」と「状態」にあります。

デグレーションの意味は、日本語で「悪化」や「退化」です。プログラムを変更したことにより、「システムの機能が低下、または正常に作動しない」など、変更前より品質や機能が悪化した「状態」のことをデグレーションと言います。

リグレッションテストは、デグレーションのような「状態」にならないよう、一部の修正が他の機能に影響していないか確認する「検証方法」です。リグレッションテストには「ノンデグレートテスト」という別名があります。

デグレとはどのような状態?原因や対策法を解説

 

1-2.リグレッションテストを実施するタイミングと目的

システム開発は、プログラムを機能ごとに区切って作成する方法が一般的です。作業が進むごとにさまざまなテストで検証を行います。

テストの大まかな順番は以下の通りであり、リグレッションテストを実施するタイミングは、各テストの終了後です。

(1)単体テスト

プログラム単体が完成した後に、問題なく作動するかを確認するテスト。
【目的】新しく修正したメソッドが他のメソッドに悪影響を与えていないかを確認します。

単体テストとは?

(2)結合テスト

単体テストが終了した各プログラムを結合した結果、プログラム同士が連携して作動するか確認するテスト。
【目的】新しい機能が他のシステムとの連携に悪影響を与えていないか確認します。

結合テストとは?

(3)総合テスト(ST:システムテスト)

本番同様の環境を使用し、完成したシステムを運用することでシステム全体が問題なく作動するか確認するテスト。
【目的】システム全体の流れが新機能によって壊れていないかを確認します。

リグレッションテストは、「変更点だけでなく、周辺機能や関連システムも含めて確認すること」がポイントです。

システムテストとは?

テストでの検証が不十分だと、さまざまな箇所でデグレーションが発生します。各段階で正確なテストを実施し、品質を保つことが大切です。

 

1-3.リグレッションテスト自動化のススメ

リグレッションテストでは、プログラムに変更が加えられるたびに既存機能の確認を行う必要がありますが、手動でこれを繰り返すのは非常に時間がかかり、ヒューマンエラーのリスクも伴います。そこで効果的なのがテスト自動化です。
特に、アジャイル開発や継続的インテグレーション(CI)の環境では、自動化されたリグレッションテストが不可欠です。コードの変更が頻繁に行われる中でも、品質を維持しながらスピード感のある開発が可能になります。

テスト自動化により、開発者は新機能の実装や改善に集中でき、テストは高速かつ正確に行われます。その結果、プロダクトの品質向上だけでなく、チームの生産性も飛躍的に向上します。

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2.リグレッションテストは省略NG!省略した場合のリスク

テストの時間が確保できない、工数がかかり予算が足りないなどの理由で、テストの省略が検討されます。納品後に不具合が発生した場合は、顧客の信用を損なうため省略しないほうがよいでしょう。

ここでは、リグレッションテストを省略することで発生する、リスクを解説します。

 

2-1.顧客との信頼関係が崩壊する

リグレッションテストを行わず、デグレーションを残したまま納品すると、「画面が表示されない」「入力できない」など、さまざまな動作不良が発生する可能性があります。動作不良の発生により顧客の業務が停止し、利益損失につながった場合、顧客の信頼関係が崩壊します。

本来実施すべきテストを怠ったことが原因で不具合が発生した場合、顧客は手を抜いて仕事をされたと感じ、新規のバグが発生することより悪い印象を抱く恐れがあります。最悪の場合、仕事の打ち切りや次の仕事をもらえなくなる可能性もあるでしょう。

不具合により期限までの納品が厳しい場合は、早めに顧客へ事実を説明することが大切です。

 

2-2.余分なコスト・工数が発生する

デグレーションが発生したシステムは、再改修が必要です。一般的に、不具合を早期発見できるほど、修正の範囲や工数を抑えることができ、効率的に業務を進めることが可能です。

しかし、システム開発が完了した後に改修する場合、大きな範囲から問題点を探し出す必要があります。工数、コスト削減のためにテストを省略したはずが、さらなる作業工数とコストがかかるケースもあるでしょう。

 

3.リグレッションテストの範囲を決める3つのポイント

作業を円滑に進めるためには、リグレッションテストの実施範囲を決めることが重要です。

●正確な範囲を決める3つのポイント

  • バグの影響を受ける箇所の把握
  • 部分別のリスクレベルの把握
  • テスト項目の優先度確認

ここでは、以上3つのポイントを解説します。

 

3-1.バグの影響を受ける箇所の把握

テストの正確な範囲を決めるために、バグが発生したときに影響を受ける箇所を把握します。影響を受ける範囲が狭いとデグレーションを見落とす可能性が高まり、反対に範囲が広すぎると作業工数が増加するため、慎重に行いましょう。

影響を受ける箇所と、関係するデータを扱う箇所を中心にリグレッションテストをすることで、不要な作業工数を削減し、業務を効率化できます。確認範囲の特定により適切な修正が可能になり、品質向上も期待できるでしょう。

 

3-2.部分別のリスクレベルの把握

バグの影響を受ける箇所を確認したら、次にデグレーションが発生した場合のリスクレベルを把握します。リスクレベルは、システム内にある変更前のプログラムの影響範囲が広いほど高く、影響範囲が一部など限定的な場合は低いと判断できます。

例えば、システムの土台となるプログラムやコードを変更すると、影響を受ける範囲が広く、デグレーションのリスクが高いと言えるでしょう。一方、システムの一部を構成するモジュールの変更は、全体への影響力が弱くリスクが低いと考えられます。

事前に不具合の箇所とリスクレベルを把握することで、テストに優先順位をつけ、効率的な作業が可能です。

 

3-3.テスト項目の優先度確認

修正箇所の影響範囲が広く、納期に間に合わない場合は、すべての段階でリグレッションテストを実施することは難しいかもしれません。納期の関係ですべてのテストを実施することが難しい場合は、テスト項目の優先度を確認しましょう。

テスト項目の優先度は、過去の実績や傾向を分析し、リスクレベルが高い箇所から項目を選定します。本来、範囲を絞らずテストを初めからやり直す「フルリグレッション」が最善ですが、莫大な工数がかかり現実的とは言えません。

過去の不具合発生の傾向から、優先度が高い項目を抜き出してテストケースを作成しましょう。

 

4.リグレッションテストは自動化に向いている?自動化のメリットと注意点

4-1.リグレッションテストが自動化に向いている理由

1.テストの繰り返しが多いから

リグレッションテストは、コードに変更が加えられるたびに何度も繰り返されます。
手動だと膨大な工数がかかりますが、自動化すればボタン一つで何百ものテストケースを実行可能です。
「一度作れば何度でも使える」のが自動化の大きな強みです。

2.判定基準が明確だから

リグレッションテストでは「以前は動いていた機能が、今も正常に動作するか」を確認します。
結果が「成功 or 失敗」のシンプルな判定なので、複雑な判断が必要なケースよりも自動化がしやすいです。

3.早期発見が重要だから

リグレッションテストの目的は、変更によって生じた意図しない不具合を早期に検出すること。
自動化すればコード修正のたびに即座に確認できるので、開発スピードが大幅に向上します。
特にアジャイル開発やCI/CD環境では、自動化が必須レベルに役立ちます。

4.手動テストでは見落としがちだから

何度も同じテストを手動で行うと、人はどうしても注意力が落ちてしまいます。
自動化すれば、すべてのテストケースを確実に網羅でき、見逃しを防げます。
夜間や休日でもテストを回せるのも自動化の強みです。

4-2.リグレッションテスト自動化のメリット

1.作業効率の向上

  • 繰り返し作業の削減:何度も同じテストを手動で行う必要がなくなります。
  • テスト実行のスピードアップ:自動化により、大量のテストケースを短時間で処理可能です。

2.品質の安定化

  • ヒューマンエラーの排除:手動テストに比べて、ミスが減ります。
  • 一貫性の確保:同じ手順で毎回テストされるため、安定した結果が得られます。

3.コスト削減

  • 長期的なコスト削減:初期投資は必要ですが、繰り返しのテスト作業を削減することで、トータルコストが下がります。
  • 人的リソースの最適化:テスト担当者が他の重要な作業に集中できるようになります。

4.不具合の早期検出

  • 継続的インテグレーション(CI)との連携:コードが変更されるたびに自動テストを実行でき、不具合を早期に発見できます。
  • リリーススピードの向上:バグ修正が早くなり、結果的に開発サイクル全体のスピードも向上します。

5.テストカバレッジの向上

  • 多様なテストケースの実行:手動では手が回らない多くのケースをテストでき、隠れたバグも見つけやすくなります。
  • 回帰テストの頻度向上:毎回の変更時に自動でテストを実行することで、リグレッションリスクを最小限に抑えられます。

テスト自動化の最大のメリットは、作業工数を削減できることです。自動化ツールは、単体テストやバリエーションテスト(異なる種類のデータを入力し、データごとにチェック)など、繰り返す作業が得意です。毎回行うテストは自動化ツールを活用することで、手動で作業するより工数を削減できます。

また、自動化ツールは正確な作業を長時間実施することが可能です。人が手動で行える時間は限られており、疲労から入力ミスなどのリスクが高まります。自動化ツールを使用することでテストミスを防ぎ、デグレーションの発生リスクを抑えられます。

4-3.リグレッションテスト自動化の注意点

  • 変更点が多いテストは、自動化に向いていない
  • 自動化ツールの導入時や、運用にもコストがかかる
  • 手動テストと自動化する領域を見極めが成功のカギ

自動化ツールは、登録したテストプログラムの内容しか作業ができません。変更が頻繁にあるテストは、プログラムを書き換える手間がかかり、工数削減の効果が弱まります。そのため、すべてのテストを自動化することは難しいです。

自動化ツールは適切に使用すると便利ですが、導入時だけでなく運用やメンテナンスにもコストが発生します。実際に削減できるコストと、自動化ツールを導入するコストを比較して検討する必要があります。重要な部分を自動化しつつ、人間の目で確認すべき領域を見極めることが成功のカギです。

テスト自動化とは?テストの種類と自動化のメリット&デメリット

 

まとめ

システム開発にはバグや不具合の発生がつきものです。改修を行った後に、システム全体が正常に作動するかを確認するリグレッションテストは、重要度が高い作業と言えます。

納期に余裕がないなどの理由でリグレッションテストを怠ると、顧客との信頼関係が損なわれる事態につながりかねません。リグレッションテストを省略すると、さらなる工数とコストがかかる場合がほとんどです。リグレッションテストは省略せず、テストする範囲を絞ったり、開発工程からテスト自動化ツールの導入を計画したりして、効率よく進めましょう。

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