最終更新日:2025年07月29日 / 投稿日:2022年11月02日

サービス開発・システム開発において、「テスト」は予期せぬ不具合や動作を発見するために必要な工程です。また、ひとくちにテストと言っても対象や目的によってさまざまな種類に分けられ、APIに関するテストはそのまま「APIテスト」と言われています。

ソフトウェア開発に携わる人の中には、「APIテストという言葉は耳にしたことがあるものの、それがどういう意味なのかは具体的に把握していない・説明できない」という人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、APIテストの概要や目的から、具体的な種類・手法を徹底的に解説します。APIテストについてのより詳細な知識を得るためにも、ぜひ当記事をお役立てください。

 

1. APIテストとは?

APIテストとは?

APIテストをしっかりと理解するためには、「APIとは何か」についてまず知っておく必要があります。そもそもAPIとは、「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の頭文字をとった略称です。各単語は、それぞれ下記のような意味をもっています。

Application
(アプリケーション)
パソコン・スマートフォンの端末内で動作するソフトウェアのこと
Programming実行させたい特定の作業を、プログラミング言語を用いて端末に指示すること
Interface
(インターフェース)
異なる2つのもの同士をつなぐ接続部分・接続箇所のこと

つまり、APIは「アプリケーション同士がプログラミングを通じてやり取りや相互連携を行う際に使用するインターフェース」です。

機能Aを機能Bから使用するために用意された窓口、と言うと分かりやすいでしょう。そしてAPIテストとは、APIの機能性・信頼性・セキュリティ性を検証するテストのことです。

インターネットの利用が主流となった現在、APIはあらゆる場所で活用されています。代表的なもので言うと、「Googleアカウントを使用した、別サービスへのシングルサインオン」です。これは、GoogleのAPIが使用されることとなります。

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2. APIテストが重要な理由

APIテストが重要な理由

APIは複数の異なるアプリケーションが連携するという、非常に複雑なシステムとなっています。予期せぬ不具合が起こると、多くのクライアント・ユーザーからの信頼が損なわれる可能性があるため、開発者やテスト担当者はその信頼性を保証しなければなりません。

以下では、APIテストがなぜ重要なのか、なぜ注目されているのかを詳しく解説します。

 

2-1. 開発プロセスの早期段階での検証が可能となる

APIは、最小機能単位に対して個別に機能をテストする単体テストが可能です。

単体テストの種類は、下記の通りです。

正常系テスト仕様通りに正常に動作するかを確認するテスト
異常系テスト仕様通りにエラー処理ができるかを確認するテスト
境界値系テストバグが起こりやすい境界値前後に対して行うテスト

単体テストはテストケースが切り離されているため、他チームの作業を待たずにテストを実行できます。開発プロセスの初期段階からAPIテストを行うことが可能であり、開発サイクル全体のスピードアップにつながります。

 

2-2. メンテナンス性が高く効率的に品質を担保できる

UIはブラウザやデバイスなどアクセス方法によって変化するため、変更のたびに修正が頻発しやすいことが特徴です。

一方、APIは変更が制御されており、UIに比べて修正が少なく保守がしやすい傾向にあります。メンテナンス性が高くコストも抑えられるため、UIより優位性が高いと言えるでしょう。

また、Open APIの使用によりAPI仕様書の自動作成も可能です。リファクタリングの労力を抑えられることも、APIの魅力の1つです。

 

2-3. 問題解決力の強化につながる

APIテストは、機能テストを独立して行えるため動作確認を網羅的に行えます。また、実行スピードが速くUIテストよりも短時間で多くのテストが可能です。

APIテストはバグの発見と修正を迅速に行えるため、問題解決力の強化につながります。開発時のテストだけでは品質保証の確実性に欠ける可能性があるため、APIの変更時やリファクタリング時も含めて継続的に実行することが重要です。

 

3. APIテストの主な種類5つ

APIテストの主な種類5つ

APIテストには、目的に応じてさまざまな方法が存在します。

代表的なテスト方法は、下記の通りです。

(1)コントラクトテスト

(2)コンポーネントテスト

(3)シナリオテスト

(4)パフォーマンステスト

(5)セキュリティテスト

以下では、代表的なテスト方法について詳しく解説します。

 

3-1. コントラクトテスト

コントラクトテストとは、分かりやすく言うと 「APIによる動作の規定」を調査するためのテストです。

APIで2つの異なるアプリケーションやサービスを連携させる場合、「契約」を意味するコントラクトが基礎となります。コントラクトは、いわゆる「ある要求に応じた応答の規定」です。ここにミスや不具合があった場合は当然APIとして機能しなくなってしまいます。

次のテストステップにも進めることができないため、最初に行う基本的なAPIテストと言えるでしょう。

コントラクトテストでは、下記3点をポイントに実施します。

 ● サービスコントラクトが仕様に従ってきちんと記述されているか

 ● エンドポイントとの接続が有効であるか

 ● エンドポイントからの応答に問題がないか

APIテストの継続をスムーズに行うためには、API自動テストツールを用いた「APIテスト自動化」がおすすめです。自動化ツールを活用することで、手動テストに比べて短時間で複数パターンのテスト実行ができ、作業効率や生産性が向上します。テストサイクルが短縮化され、製品リリースも早められるでしょう。

これらのテストは、モックとスタブを活用して、異なる構成・環境で実施することもおすすめです。

 

3-2. コンポーネントテスト

コンポーネントテストとは、 「APIで利用できる個々のメソッド」を個別に調査するためのテストです。「単体テスト」「ユニットテスト(UT)」とも呼ばれ、サービスコントラクトを読み込み、自動的にテストステップを作成するという方法で実施されます。

コンポーネントテストは、「ホワイトボックステスト」と「ブラックボックステスト」の2つの手法で行うことが基本です。

ホワイトボックステストアプリケーション・プログラムの内部構造において、コードの命令や分岐の網羅性に焦点をあてたテスト
ブラックボックステスト内部構造を考慮せず、インプット・アウトプットに焦点をあててAPIの設計仕様を満たしているかどうかを検証するテスト

コンポーネントテストを実施することにより、コンポーネントの欠陥の早期発見・不具合リスクの軽減・品質に関する信頼性の向上につながります。

また、コンポーネントテストでそれぞれのAPI呼び出しを作成しておくことで、その後のテストも効率よく進められるでしょう。テストは、モックとスタブを活用して、異なる構成・環境で実施することもおすすめです。

 

3-3. シナリオテスト

シナリオテストとは、 ユーザー目線の使用フローを想定したシナリオに基づいて、使いやすさや課題点を調査するためのテストです。システムテストにおけるブラックボックステスト技法の1つでもあります。

内部構造を考慮しないブラックボックステストの1種となるため、プログラム内部で行われている処理はチェックしません。基本的に、ユーザーが実際にAPIを利用したときに正しく機能するかを、操作フローのシナリオごとにテストを実施します。

生じている不具合による課題点や改善点の発見だけでなく、ユーザーの満足度を満たせるかどうかの「ユーザビリティ」も重要なチェック事項となっています。

 

3-4. パフォーマンステスト

パフォーマンステストとは、 一定の負荷に対して、APIの応答スピードや安定性、拡張性がどれほど持ちこたえられるかを調査するためのテストです。非機能的ソフトウェアテスト技法の1つで、「性能テスト」とも呼ばれています。

APIの導入当初は使用ユーザー数が少ないため、問題なく動作するでしょう。しかし、使用量が増加することでサーバーに負荷がかかり、パフォーマンスの低下やエラーの発生が生じる可能性があります。

パフォーマンステストは、使用量が拡大してもAPIの高いパフォーマンスを維持するために必要なテストと言えるでしょう。「同時刻に最大3,000人のユーザーが同時に利用した場合」など、想定される状況により近い条件でテストを実施し、パフォーマンス低下の要因特定・改善点を検証していきましょう。

それぞれの条件で、処理量や応答時間、消費資源量などの項目を設定すると、より効率的に、かつ適切にテストを進められます。

 

3-5. セキュリティテスト

セキュリティテストとは、 APIのエンドポイントの信頼性・正確性を調査するためのテストです。いわゆる「脆弱性管理」であり、ハッカーによる攻撃の対策や情報漏えい・データ改ざん・ウイルス被害などの予防として実施されます。

セキュリティテストの主な手法は、下記の通りです。

 ● 手動検査

 ● ペネトレーションテスト(侵入テスト)

 ● ソースコードレビュー

多くのユーザーが信頼できるAPIを開発するためには、セキュリティ性の高さが欠かせません。セキュリティテストの手法には上記の他にもいくつかあるため、多方面から脆弱性を確認するとよいでしょう。

パソコンのシステム・ツールを用いて行うチェックと、人員によるチェックの双方を行い、起こり得るセキュリティリスクの対策環境をなるべく整えておくことが重要です。また、セキュリティテストは開発時だけでなく、導入後も定期的に実施する必要があります。

 

4. APIテストを円滑に進めるためには「自動化」がおすすめ!

APIテストを円滑に進めるためには「自動化」がおすすめ!

APIテストの自動化は、テストを円滑に進める手段の1つです。APIテストの自動化とは、 自動化ツールを導入してAPIテストを自動的に行うことを意味します。

APIテストでは、リクエストを送信してレスポンスを確認する作業が繰り返されます。これらをすべて手作業で行うのは非効率です。しかし、自動化すれば大量のリクエストを短時間で処理できる上に、繰り返し実行にも簡単に対応できます。

例えば、ログインAPIに対して100通りの異常系テストを手動で行うのは大変な作業です。しかし、自動化スクリプトを作成すれば一瞬で完了します。

自動化に適したAPIテストの主な種類は、下記の通りです。

 ● 機能テスト

 ● ロードテスト

 ● パフォーマンステスト

 ● エラーテスト

 ● 多言語テスト

 ● 回帰テスト

APIテストはソフトウェアのインターフェースを直接検証するプロセスであり、その性質上、自動化との相性が抜群です。

一方で、探索的テストやユーザビリティテスト、UIテストには手動によるテストが向いています。自動によるテストは変更ごとにコード作成が必須であるため、小さな変更の確認であれば手動のほうがスムーズに進められます。

テストによって自動化が不向きなケースもあるため、 適用場面に合わせて手動・自動を適切に使い分けることが大切です。

 

5. APIテストを自動化するメリット

APIテストを自動化するメリット

APIテストを自動化する最大のメリットとしては、短時間で大量のテストを実行できることが挙げられます。他にも多くのメリットがあるため、詳しく理解した上でAPIテストの自動化を検討してみましょう。

ここからは、APIテストを自動化するメリットについて詳しく解説します。

 

5-1. テスト工数を大幅に削減できる

APIテストを自動化することで、テスト工数の大幅な削減が可能です。

APIテストはCI/CDパイプラインに組み込みやすく、継続的インテグレーションやデプロイのたびに自動テストを実行できます。新しいエンドポイントを追加する場合、GitHub ActionsやJenkinsによって自動でAPIテストを走らせれば、デプロイ前に問題を発見できます。

APIが頻繁に更新されるプロジェクトでは、過去に動作していた機能が新しい変更で壊れていないかを確認する回帰テストが必須です。APIテストを自動化すれば、確認作業がスムーズかつ確実に行えるようになります。

 

5-2. 人的ミスを防げる

人的ミスを防げることも、APIテストを自動化するメリットの1つです。

APIテストを手動で行う場合、作業の多さが原因でデータの誤入力や分析の誤りといった人的ミスが発生しやすくなります。確認項目が多いほど慎重かつスピーディーな確認作業が求められますが、手動による作業には限界があります。

人的ミスの発生リスクを大幅に抑制するには、自動化によってテスト工数を削減することが効果的です。

 

5-3. 品質の向上につながる

APIテストの自動化は、製品の品質向上にも大きく貢献します。

APIテストを自動化すると、コード変更後のテスト実行を速やかに行うことができます。変更のたびに効率良くテスト実行ができるため、リリースまでのサイクルを短縮することが可能です。

システムは常に最新状態に保たれ、バグが発生する頻度も減ることから、顧客満足度の向上にもつながります。

 

6. APIテスト自動化の導入手順

APIテスト自動化の導入手順

APIテスト自動化の導入手順は、下記の通りです。

1.テスト対象APIの理解エンドポイント、リクエストメソッド(GET/POST/PUT/DELETEなど)、レスポンス形式を明確にしましょう。
2.テストケースの設計正常系、異常系、境界値、認証、権限管理、レートリミットなど、API特有の観点でテストケースを作成します。
3.テストデータの準備リクエストボディやクエリパラメータに必要なデータを準備し、環境ごとに使い分けられるように設計します。
4.テストツールの選定ATgo、Postman、RestAssured(Java)、Karate、Newmanなど、自社やテストケースに適したツールを選びます。
5.スクリプト作成・実行選定したツールを用いてスクリプトを作成し、自動化されたテストを実行します。
6.結果分析とレポート生成テスト結果をログやレポートに出力し、エラーやレスポンスタイムを分析します。
7.継続的メンテナンスAPIの仕様変更や新機能追加に合わせて、テストケースを定期的に見直します。

APIテスト自動化は、開発の早い段階から信頼性を確保し、継続的な品質管理を実現する強力な手段です。

 

7. APIテスト自動化を成功させるためのポイント

APIテスト自動化を成功させるためのポイント

APIテスト自動化のメリットを最大限に引き出すには、成功させるためのポイントをおさえておくことが大切です。

以下では、APIテスト自動化を成功させるためのポイントを5つ紹介します。

 

7-1. APIの仕様書や関連ドキュメントにすべてを記録する

高品質な製品をリリースするために、APIの仕様書や関連ドキュメントは明確に整備しておきましょう。

フロントエンドのGUIは参照できないケースがほとんどです。必要な項目をすべてカバーできているかを確認するためには、APIの仕様書や関連ドキュメントが必要不可欠です。

テスト失敗時には、包括的なレポートを残すことで原因究明や迅速な修正に役立ちます。

 

7-2. DRY原則の実践で保守性を向上させる

修正ミスやバグの発生を防ぐには、テストコードやドキュメントの重複を避ける必要があります。重複を避けるためには、DRY原則に従うことが重要です。

DRY原則は、 「Don’t Repeat Yourself=反復を避ける」の頭文字をとったソフトウェア開発における設計原則の1つです。DRY原則に従うことは、保守性の向上やシステム開発の効率化にも結びつきます。

複数のAPIで共通のコードを使用している場合は、アクセスしやすいように共有ライブラリに入れておくと良いでしょう。

 

7-3. 小規模なAPIからスタートする

APIテストの自動化は、大きなAPIから取りかかるのではなく、ログインAPIなどシンプルなところから始めましょう。入力が少ない小規模なAPIは、テストケースの作成が比較的簡単です。

小規模なAPIで徐々にスキルを習得し、テスト環境を整えることで、より複雑なAPIテストへと発展させやすくなります。

 

7-4. CI/CDパイプラインに組み込む

APIテストを自動化する場合は、CI/CDパイプラインに組み込みコード変更に即応できるテスト体制を構築しておきましょう。

CI/CDパイプラインとは、 コードのビルドやテスト、リポジトリへのソフトウェアの自動リリースなどを行う仕組みです。CI/CDパイプラインに組み込むことで、自動化の効果を最大化できます。

 

7-5. 継続的なメンテナンスとレビューで品質を確保

APIテストの信頼性を高めるためには、テストケースを定期的に見直してAPI仕様との整合性を確認することが重要です。APIの仕様変更や新機能追加などのタイミングで見直すのがおすすめです。

また、エラーハンドリングやログ収集の整備がトラブルシューティングを円滑にします。継続的なメンテナンスとレビューを行い、優れた品質を確保しましょう。

 

まとめ

APIとはソフトウェア開発・API開発に携わるなら、「APIテスト」に関する知識の習得が欠かせません。「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の略称であり、分かりやすく「機能Aを機能Bから使用するために用意された窓口」を意味します。

APIの開発・導入時は、定期的なAPIテストが必要です。「このテストがクリアできなければ、他のテストに進めない」というケースも多々あるため、なるべく段階を踏んできちんと実施するとよいでしょう。また、APIテストにはさまざまな方法が存在するため、目的に応じたAPIテスト手法を考えることが重要です。

ここまでの内容を参考に、ぜひ適切なAPIテストを実施してください。

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