ノーコードとは?メリット・デメリットや向いている企業の特徴を解説
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最終更新日:2023年07月18日 / 投稿日:2023年07月18日
「ノーコード」は、近年Webサービスやアプリケーション開発の手法として注目されています。ノーコード開発により、プログラミング知識を持たない方でも直感的に操作して開発作業を進められ、コストを削減しながら迅速なアプリケーションやシステムを開発可能です。技術や知識のハードルを下げ、開発現場の人材不足解消に貢献する手法として、ノーコード開発は期待されています。
この記事ではノーコードの特徴やローコードとの違い、メリット・デメリットやノーコード開発が向いている企業の特徴について解説します。
1. ノーコードとは?
ノーコード(NoCode)とは、ソースコードの記述なしでシステムやアプリケーションの開発を行う手法を指します。システムやアプリケーションの開発は、ソースコードを記述して行うのが一般的です。対して、ノーコードでは、ノーコードツールで予め用意されたパーツを組み合わせることでシステムを構築します。
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1-1. ノーコードの特徴
ノーコードの最大の特徴は、ソースコードを記述する代わりに、GUIを使って開発を進める点です。ノーコードツールに用意された機能をドラッグアンドドロップなどの基本的な操作で操作し、視覚的かつ直感的に開発を進められます。
また、操作した結果がすぐに見た目に反映され、完成形のイメージを簡単につかめるため、プログラミング言語に詳しくない人でも開発が可能です。
1-2. ノーコードとローコードの違い
ノーコードと似た用語として、ローコード(LowCode)があります。ローコードとは、必要最小限のコーディングでシステムを開発する手法です。ノーコードとローコードには、次のような違いがあります。
ノーコードとローコードの違い
ノーコード | ローコード | |
---|---|---|
ソースコードの記述 | 不要 | 最低限の記述は必要 |
システムで利用できる機能 | ツールに用意された機能のみ | 比較的自由 |
開発期間(コードの記述による開発との比較) | 約3分の1~2分の1 | 約2分の1~3分の2 |
開発費用(コードの記述による開発との比較) | 約3分の1 | 約2分の1 |
ノーコードは、ローコードと比較すると開発期間や開発費用を抑えられるものの、ローコードより利用できる機能が少なくなります。たとえば、外部システムやほかのツールとの連携などの、やや複雑な機能を盛り込みたい場合はローコードを利用した開発が向いています。
一方で、複雑な機能が必要なければ、ノーコードのほうが早く・安く開発を進められる可能性が高いでしょう。
2. ノーコードのメリット
ノーコード開発が多くの企業から注目されている背景として、IT業界が人材不足に悩みつつも、スピード感のある課題解決が求められているという状況があります。自社のDX化を進めるには、社内の既存手続きなどを電子化することが必要です。
しかし、細かな業務をDX化するために都度外注するのはコストが高くなります。ノーコード開発にはこの問題を解決可能なメリットが存在します。ノーコードの代表的なメリットは、主に以下の2つです。
2-1. 専門的な技能がなくてもシステム開発ができる
システム開発でソースコードを記述するときには、プログラミング言語をはじめとした専門的な技能が必要になります。一方でノーコード開発ではソースコードを記述する必要がなく、直感的な操作で開発できるため、エンジニアでない方も開発に参加できます。
また、システム開発を外部委託すると、事前に伝えた要望と実装した機能の間にずれが生じ、利用者が不便に感じる部分がしばしば生まれます。ノーコード開発なら、現場の利用者も開発に参加でき、実務で必要な機能を盛り込んだシステムを開発可能です。
くわえて、セキュリティ面でもノーコード開発には利点があります。ノーコード開発に利用するツール側にはセキュリティが組み込まれているため、専門的な知識を開発者が個別に身につける必要がありません。
このように、技術や知識のハードルを下げ、開発現場の人材不足解消に寄与する手法として、ノーコード開発への注目が高まっていると言えます。
2-2. 開発にかかる工数やコストを削減できる
一般的なソースコードの記述による開発と比較すると、ノーコード開発は開発の工数やコストを大幅に削減できます。
ソースコードを1から記述する場合、単純なシステムであっても多くの時間や費用が必要です。一方、ノーコード開発であれば短時間かつ安価でシステムを開発でき、社内のちょっとした業務のDX化なども可能です。さらに、開発に専門的知識が不要なことから、不便に感じた部分をすばやく修正できます。
また、アイデアをアプリやECサイトなどの形にすぐに落とし込めるため、開発に必要な費用を捻出することが難しい状況でも、ビジネスを始動するチャンスが生まれます。特に、システム開発に予算を取れない中小企業にとっては、低コストで開発できる点は大きなメリットです。
3. ノーコードのデメリット・注意点
ノーコードは利便性が高い一方で、デメリットや注意点も存在します。ノーコードの活用を検討する際には、デメリットや注意点を把握し、自社のニーズに応えられる開発手法かを見極めることが大切です。ノーコードのデメリット・注意点は次の通りです。
3-1. 開発の自由度が低い
ノーコード開発では、ツール側で用意された機能しか利用できないため、開発の自由度は限られます。機能の組み合わせによってはある程度の工夫が可能ですが、独自機能の実装は難しいです。開発中にノーコードでは機能が不足することが発覚した場合、必要な機能を実装できず、不十分な状態で開発を終える可能性もあります。特に、基幹システムのように多様な機能が求められる大規模なシステムの開発には不向きです。
また、既存のテンプレートを使用すると、デザイン面においても制約を受けます。デザインを通じて他のサービスとの差別化を図りたい場合、ノーコードによる開発は最適とは言えません。
3-2. プラットフォームに依存する部分が多い
ノーコードの場合、特定のサービスやツールを利用して開発を進めるため、提供されるプラットフォームへの依存度が高くなります。
たとえば、サービス利用料の値上げやシステム障害などが発生すると、同じプラットフォーム上で開発したシステムは大きな影響を受けます。サービスが終了するとシステムが利用できなくなるといったリスクも存在します。また、特定のプラットフォームに依存しているシステムは他のサービスとの互換性に乏しく、プラットフォームを乗り換えることは困難です。
4. ノーコード開発が向いている企業
ノーコード開発が向いているのは、以下のような企業です。
低コストで素早くアプリケーションを開発したい企業 |
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ノーコード開発のメリットは、低コストで短期間の開発が可能な点です。費用がネックでアプリケーション開発に取り組むことが難しい企業や、短期間でアプリケーションをブラッシュアップしたい企業には、ノーコード開発が向いています。 |
DXのために社内アプリケーションを開発したい企業 |
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ノーコード開発を導入すれば、自社にIT部門やエンジニアを抱えていない企業でも、社内向けのアプリケーション開発が可能です。プログラマーが不在でも、ノーコード開発によって業務用のアプリケーションを開発・導入し、DXを推進できます。業務を担当する者自身が開発に関与して必要な機能を自ら搭載することができ、アプリによる業務効率化を効果的に進められます。 |
ノーコードは大規模開発には必ずしも適していない一方で、短いスパンで小回りの利いた開発を行いたい場合には適しています。
まとめ
ノーコードとは、ソースコードを記述せず、ノーコードツールで予め用意されたパーツを組み合わせることでシステム開発を行う手法です。ドラッグアンドドロップなどの基本的な操作でパーツを組み合わせて、視覚的かつ直感的にシステム開発を行えます。
ノーコード開発を利用すれば、専門的な技能がなくてもシステム開発ができ、不便に感じた部分をすばやく修正可能です。ノーコード開発は開発の工数やコストを大幅に削減可能なことから、多くの企業から注目されています。ただし、開発の自由度は高くなく、プラットフォームに依存する部分が多い点には注意が必要です。
そのため、ノーコード開発は低コストで素早くアプリケーションを開発したい企業や、社内アプリケーションを開発したい企業に向いています。