最終更新日:2023年11月13日 / 投稿日:2023年11月13日

ソフトウェアの継続的な改善は、変化が速い現代のビジネス環境において、競争力を維持するための鍵とも言えます。ユーザーのフィードバックを迅速に取り込み、それを製品に反映することが重要です。また、ソフトウェア開発のサイクルを短縮し、頻繁にリリースを行うことで、新しい機能の追加やバグの修正をすばやくユーザーに提供できます。

こうした背景の中で、CI/CDはソフトウェアの継続的な改善を支えるプラクティスとなります。この記事では、CI/CDの重要性やメリット・デメリットについて紹介します。

 

1.CI/CDとは

CI/CDとは

CI/CDは、ソフトウェア開発の工程を自動化し、開発の効率化・省力化・迅速化を進める手法です。Continuous Integration(継続的インティグレーション)と、Continuous Delivery/Continuous Deployment(継続的デリバリー/デプロイ)の頭文字を取り、CI/CDと呼ばれます。

CI/CDの意味は、それぞれ以下の通りです。

CI(継続的インティグレーション)
CI(継続的インティグレーション)とは、開発者が変更したコードを共通のリポジトリに統合する際に、テストやビルドなどの工程を自動化することです。自動化されたビルドとテストプロセスを通じてコードを統合すれば、バグや問題を早期に検出し、修正できます。
CD(継続的デリバリー)
CD(継続的デリバリー)は、CIによって検証されたソフトウェアを常にリリース可能な状態に自動化することです。開発されたコードがリポジトリに統合された後、本番環境に反映する準備ができている状態を保つことを意味します。継続的デプロイと違い、本番環境へのリリースは人間が行います。
CD(継続的デプロイ)
CD(継続的デプロイ)は、開発されたコードを本番環境へ反映する工程までを完全に自動化することです。リポジトリに統合されたソフトは人間の手を入れずに自動的にテストが行われ、本番環境に反映されます。ユーザーに変更が素早く届く一方で、人の目によるチェックがないため、自動化するテスト内容の吟味が必要です。

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1-1.CI/CDの重要性

CI/CDが注目されている理由の1つに、アジャイル開発の普及が挙げられます。

アジャイル開発とは、ソフトウェア開発の方法論の1つで、迅速かつ柔軟にソフトウェアを開発・リリースすることが目的です。伝統的なウォーターフォール型の開発プロセスとは異なり、アジャイル開発は短期間の開発サイクル(イテレーションやスプリントなど)を用い、各サイクルで完結した機能や価値を提供することを重視します。

アジャイル開発で重要なのはスピードであり、CI/CDはそれを実現するための手法として活用されています。

 

1-2.CI/CDとDevOpsの関係

DevOpsは、ソフトウェアの開発(Development)と運用(Operations)の2つの領域を連携させる開発手法を指します。DevOpsの目的は、開発と運用の間のコミュニケーションと協力を強化し、ソフトウェアのリリースを迅速かつ安全に行うことです。

CI/CDは、製品の迅速なリリースのために、コード変更の管理から、テスト・リリースまでを自動化する手法です。つまり、CI/CDはDevOpsの取り組みにおいて、開発と運用の間の流れをスムーズにする具体的な手法として活用されています。

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1-3.CI/CDを自動化するCI/CDパイプライン

CI/CDパイプラインとは、ソフトウェアの変更がリポジトリに統合されるときから、変更が本番環境にデプロイされるまでの、一連の自動化されたプロセスです。

CI/CDパイプラインを構築することで、ソフトウェアの開発からリリースまでのプロセスが効率的かつ迅速に進行できたり、テストやビルドにかかる工数を削減できたりするメリットがあります。

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2.CI/CDツールを導入するメリットとデメリット

CI/CDツールを導入するメリットとデメリット

CI/CDの構築には、一定の作業負担がかかるものの、結果的には開発におけるさまざまなメリットを得られ、円滑な開発やテスト環境構築につながります。以下では、CI/CDを導入するメリット・デメリットについて、それぞれ紹介します。

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2-1.【メリット】不具合を早期に発見できる

継続的インテグレーション(CI)は、開発者が日常的、または頻繁にコードの変更を共有リポジトリに統合するプラクティスです。変更が統合されるたびに、自動化されたビルドとテストが実行されます。新たに導入されたコードが既存のコードベースやシステムと適切に動作するか、新しい不具合やバグがないかを確認することが可能です。

自動テストの過程で、新たに追加または変更されたコードに起因するバグや予期しない動作が発覚すれば、その情報は開発者にフィードバックされます。このフィードバックが迅速に行われることで、開発者は直近の変更を覚えているうちに、発見された不具合の原因を特定しやすくなります。

これにより、不具合の修正が効率的に行われ、長期間の放置で複雑化する問題や、後のフェーズで発見された場合の高コストな修正を回避することが可能です。

たとえば、開発者が新しい機能を追加する際に新しい変数を導入し、その変数の初期化を忘れてしまったとしましょう。このようなミスは、特定の条件下でのみ問題となる場合が多いため、手動のコードレビューや単体テストでは見逃されることがあります。しかし、CI環境では、統合されるたびに自動的にテストが行われるため、この未初期化の変数が原因で発生する問題(例: Null Pointer Exceptionや不正な値の使用)を早期に検出できます。

 

2-2.【メリット】開発期間の短縮につながる

CI/CDの大きな目的は自動化です。コードの統合、テスト、デプロイの各フェーズでの手動の介入が大幅に削減されることで、これらのタスクが迅速に、かつ一貫して行われます。これにより、手動でのミスが減少し、各ステップでの待ち時間や遅延もなくなるでしょう。

また、継続的デリバリー(CD)により、新しい変更や機能を素早くステージングまたは本番環境にデプロイできるため、ユーザーや関係者からのフィードバックを迅速に受け取れるようになります。

 

2-3.【メリット】テスト漏れの防止やコードの品質向上ができる

一貫した自動テストを実行することで、テストの漏れを大幅に減少させられます。

また、CI/CDによってコードチェックが自動化されれば、コードの品質は常に一定の基準を満たすことが期待されます。コードの変更が頻繁にテストされ、品質の基準を満たしていない場合はフィードバックが迅速に提供されるため、属人化されたコードに悩まされず、一貫して高品質なコードの提供が可能です。

 

2-4.【デメリット】導入コストがかかる

CI/CDの導入は、開発プロセスの迅速化やソフトウェアの品質向上に寄与するものの、導入には金銭的および時間的なコストが伴います。

金銭的なコストとしては、CI/CDツールや関連するインフラのライセンス料やサブスクリプション料が考えられます。一部のツールはオープンソースで無料提供されていますが、法人レベルの機能やサポートを必要とする場合は、有料ツールの導入が必要です。さらに、専用のサーバーを設定したり、クラウドサービスを利用したりする場合の費用も発生します。

時間的なコストとしては、ツールのセットアップや既存の開発プロセスへの統合に関わる作業が挙げられます。技術的な知識や経験が必要となるため、スキルの高いエンジニアを雇用するか、既存のチームメンバーにトレーニングを受けさせる必要があるでしょう。

特に、ウォーターフォール開発を採用しているプロジェクトや組織では、CI/CDの導入のコストパフォーマンスが悪くなる恐れがあります。ウォーターフォール開発は、フェーズごとに明確に段階を踏んで進行するのが特徴です。頻繁にコード変更やデプロイが行われるケースは少ないため、CI/CDの恩恵をフルに受けることが難しくなります。よって、このような環境では、CI/CDの導入にかかるコストと、それによって得られる利益のバランスをよく検討することが必要です。

 

3.CI/CDツールを導入するときのポイント

CI/CDツールを導入するときのポイント

CI/CDパイプラインを構築するための主要なツールは以下の通りです。

  • バージョン管理ツール
  • CIサーバー
  • コンテナオーケストレーションツール
  • 構成管理ツール
  • ビルドツール
  • テストツール

パイプラインの構築を始めるにあたって、すべてのツールを初めから導入しようとすると、導入の複雑さやコストが高くなります。

そのため、まずはCIの導入部分(例:単体テストの自動化や静的解析など)から始めるとよいでしょう。その後は、ビルドの自動化・統合テストの自動化・デプロイの自動化…などと少しずつ進めていくことをおすすめします。

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まとめ

CI/CDの採用により、ソフトウェア開発のサイクルが高速化され、より頻繁に品質の高いリリースを行えるようになります。ただし、CI/CDは、アジャイル開発と相性がよい手法です。一方で、ウォーターフォール開発の場合は、CI/CDを導入したとしても大きな効果はあまり見込めません。

また、CI/CDでは、テストやビルドの作業が自動化されますが、自動化するためにはビルドスクリプトやテストコードを準備するなど、一定の手作業が必要です。

監修:六元素情報システム株式会社
監修
六元素情報システム株式会社 ATgoチーム

六元素情報システムは、システム開発現場で培った高い技術力と実務経験を持つ企業です。その知見を活かして開発したテスト自動化ツールATgo(特許6830701号)の提供を通して、日本のシステム開発における生産性向上と品質向上に貢献します。

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