最終更新日:2025年09月01日 / 投稿日:2025年09月01日

システム開発モデルにはウォーターフォール型・アジャイル型・V字モデル型など、いくつかの種類があります。中でも、手戻りのロス削減に役立つのが「W字モデル」です。

W字モデルに関心を持ちながらも、「V字型との違いやメリットがわからない」「失敗しそうで導入するか迷っている」という方も多いのではないでしょうか。

今回はW字モデルとはどのような開発モデルなのかを、V字モデルとの違いやW字モデルならではのメリット、導入時の注意点と成功のポイントを交えて解説します。

 

1. システム開発における「W字モデル」とは?

1. システム開発における「W字モデル」とは?

W字モデルとは、開発の上流からテスト担当者が参加して、開発工程とテスト工程を同時並行的に進める開発モデルのことです。システム開発の流れを図にすると開発工程とテスト工程が「W」の形に並ぶため、「W字モデル」と呼ばれています。

通常のシステム開発では、開発工程の各フェーズは以下の流れで進みます。

1要求定義・要件定義
2基本設計
3詳細設計
4コーディング
5単体テスト
6結合テスト
7システムテスト・受け入れテスト
8リリース

しかし、実際の開発現場では順調にフェーズが進むことは多くありません。例えば、単体テストで問題が発覚して詳細設計からやり直したり、受け入れテストがうまくいかず要件定義を見直したりするケースがあります。

対して、W字モデルでは各開発フェーズに対応したテスト工程を組み込み、同時並行でシステム開発を進めていくことが特徴です。

開発担当者の工程テスト担当者の工程
1要求定義・要件定義システムテスト・受け入れテストの設計
2基本設計結合テストの設計
3詳細設計単体テストの設計
4コーディング
5デバッグ・修正単体テストの実行
6デバッグ・修正結合テストの実行
7デバッグ・修正システムテスト・受け入れテストの実行

開発工程で発生した問題はテスト担当者の工程で発見・修正できるため、開発現場で起こりやすい手戻りを削減し、スムーズなシステム開発を実現できます。

 

1-1. W字モデルとV字モデルの違い

W字モデルと似ている開発モデルに「V字モデル」があります。

V字モデルは左側に開発工程、右側にはテスト工程を置いた「V字型」で、上流の開発工程と下流であるテスト工程の対応を可視化した開発モデルです。V字の一番下にはコーディングがあり、開発工程がコーディングまで到達したら、今度はテスト工程に進むという流れになっています。

V字モデルと比較したW字モデルの最も大きな相違点は、開発の上流工程にテスト担当者の工程が含まれている点です。上流工程で仕様のレビューやテスト設計を行うことで、問題の早期発見・対処やシステム全体の品質向上が期待できます。

 

2. W字モデルを導入するメリット

2. W字モデルを導入するメリット

システム開発でW字モデルを導入することには多くのメリットがあります。

「開発工程からテスト工程に入るまでのタイムラグが大きい」「手戻りが開発現場の負担になっている」といった課題があるときは、W字モデルの導入を検討しましょう。

W字モデルを導入するメリットを4つ挙げて、それぞれがどのような課題を解決できるかを解説します。

 

2-1. テストの準備を早期に開始できる

W字モデルは上流工程で各種テストの設計を行えるようになり、テストの準備を早期に開始できます。

ウォーターフォールモデルやV字モデルといった従来の開発モデルでは、テスト担当者がテスト準備をできるようになるのは下流工程となっていました。テストの品質を高めるには入念なテスト設計が必要であり、テスト準備に時間がかかることが課題です。

W字モデルでは開発工程とテスト工程の距離が近く、例えば要件定義が完了したらすぐにシステムテストの設計を行えます。テストの準備に多くの時間をかけられるようになり、テスト品質を高められるでしょう。

 

2-2. 設計や要件の抜け・漏れを防げる

W字モデルでは開発工程と並行してテスト工程が行われるため、開発者の見落としによる不具合の発生を防止できます。

開発工程で重視されるのは「仕様を満たせること」や「求められている機能を実現すること」であり、ユーザー目線での検証はなかなかできません。

対して、テスト担当者は対象のシステムをあらゆる角度から検証します。仕様の変更要求や想定外の操作も確認するため、開発者が気付かなかった設計や要件の抜け・漏れに素早く対処できる点がメリットです。

 

2-3. 不具合発覚時の手戻りを大幅に削減できる

W字モデルは上流工程からテスト担当者が参加していることにより、開発フェーズの不具合が発覚したときにすぐ指摘できます。

一般的な開発モデルでは、テスト担当者がかかわるのはシステムの大部分が完成している下流工程です。そのため、テスト工程で不具合が発覚すると該当するフェーズへの手戻りが発生します。

W字モデルであれば開発フェーズとテストフェーズの距離が近く、不具合発覚時の手戻りを大幅に削減可能です。各開発フェーズの精度を高められるようになり、結果として、開発するシステムの品質向上にもつながります。

 

2-4. 担当者間のコミュニケーション円滑化につながる

W字モデルでは開発担当者とテスト担当者が連携して作業を行う場面が多く、担当者間のコミュニケーション円滑化につながります。

開発現場では、開発工程の成果物をめぐって開発担当者とテスト担当者が対立するケースがあります。開発担当者とテスト担当者が互いを敵視する現場では意思疎通がうまくできず、システムの品質に悪影響が出るおそれもあるでしょう。

担当者間の円滑なコミュニケーションが期待できるW字モデルは、開発現場の雰囲気を良くするとともに、システムの品質維持にも貢献してくれます。

 

3. W字モデルを導入する際の注意点

3. W字モデルを導入する際の注意点

W字モデルの導入には多くのメリットがある一方で、注意点とも言えるデメリットもいくつか存在します。

すべての開発現場で問題なく導入できるとは限らないため、W字モデルでのシステム開発を検討している方は注意点を押さえておきましょう。

W字モデルを導入する際に気を付けたい、2つの注意点を解説します。

 

3-1. プロジェクト管理が複雑となる

W字モデルは開発工程を進めながらテストの設計・実行もするため、通常の開発モデルと比べて一工程あたりの作業量が多くなります。開発担当者とテスト担当者の間で作業進捗などの情報共有も必要であり、プロジェクト管理が複雑となる点に注意してください。

W字モデルを導入しても、開発担当者とテスト担当者の意思疎通をうまく行えていないと、不具合の早期発見・対処や手戻り削減の効果が得られません。開発現場の全員が情報を共有できる仕組み作りが必要です。

 

3-2. 経験豊富なテストエンジニアの存在が求められる

W字モデルに携わるテスト担当者は、要件定義や設計という「完成品が存在していない」段階で不具合やミスに気付かなければなりません。

また、W字モデルの開発工程は、テスト担当者のレビューやテスト設計を経た上で進みます。開発を停滞させないためにも、テスト担当者には効率的にレビュー・テスト設計を行うスキルが必要です。

テスト工程ができる人材なら誰でも良いというわけではなく、経験豊富なテストエンジニアの存在が求められる点がW字モデル導入時の課題となるでしょう。

 

4. W字モデルを成功させるためのポイント

4. W字モデルを成功させるためのポイント

W字モデルを成功させるには、まず担当者間の情報共有を促しましょう。「プロジェクト管理ツール」を導入すると、作業の進捗や業務報告を担当者全員が閲覧できるようになり、開発プロセス全体の可視化ができます。

次に、テスト工程を効率化するには「自動化ツール」の導入がおすすめです。自動化ツールは業務を自動的に実行できるソフトウェアであり、今まで手動で行っていたテスト工程の労力を大幅に削減できます。

これらの技術を活用すると、各工程の効率化や人的ミスの削減、生産性の向上にもつながります。結果としてリリース期間の短縮も実現できるでしょう。

 

まとめ

W字モデルは開発工程とテスト工程を並行して進める開発モデルです。開発現場にテスト担当者が加わることで、手戻りを削減しつつ、システムの品質を高められるメリットがあります。

W字モデルを成功させるためには、プロジェクト管理ツールや自動化ツールの導入が効果的です。

ATgoはローコードで操作できて、高いテスト品質を確保できるテスト自動化ツールです。W字モデルをスムーズに導入・運用したい方は、初心者でも簡単に利用できる自動化ツール「ATgo」をぜひご検討ください。

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監修:六元素情報システム株式会社
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六元素情報システム株式会社 ATgoチーム

六元素情報システムは、システム開発現場で培った高い技術力と実務経験を持つ企業です。その知見を活かして開発したテスト自動化ツールATgo(特許6830701号)の提供を通して、日本のシステム開発における生産性向上と品質向上に貢献します。

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