DevOpsとは?アジャイル開発との違いや導入メリットを解説
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最終更新日:2023年10月11日 / 投稿日:2023年10月11日
ITのさらなる発展が続く近年、業界では「DevOps(デブオプス)」という概念・仕組みが注目されています。DevOpsは簡単に言うと、ソフトウェア開発と運用プロセスを統合するという組織の仕組みであり、顧客のニーズに沿ったソフトウェアのスムーズな提供の実現が期待できます。
しかし、DevOpsという言葉は知っていても、アジャイル開発との違いやメリット、さらに実現に必要なものについては深く理解できていないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、DevOpsの概要・アジャイル開発との違い・メリット・6つのライフサイクル・実現に必要な考え方とツールについて詳しく紹介します。
1. DevOpsとは?概要を解説
DevOps(デブオプス)とは、開発を意味する「デベロップメント(Development)」と運用を意味する「オペレーション(Operation)」を組み合わせた略語です。
開発担当者と運用担当者が密に連携をとり、顧客ニーズに沿った価値の高いソフトウェア・システムのスピーディーな開発を目的とした手法・組織の仕組みとなります。
従来のシステム開発では、開発チームと運用チームが明確に分けられていました。しかし、開発者は新たな機能開発を求める一方で、運用者はシステムの安定稼働を優先するという特徴から、ときには対立することもありました。
開発担当者と運用担当者の間に溝ができてしまっては、効率的かつ価値の高いシステム開発は実現できません。こうした状況を打開するため考案された方法論が、両者の対立の解消・理想的な連携関係の構築を可能とするDevOpsです。
1-1.DevOpsとアジャイル開発の違い
DevOpsと混同されやすいシステム開発手法として、「アジャイル開発」が挙げられます。
そもそも「アジャイル(Agile)」とは、日本語で「俊敏」「素早い」を意味します。アジャイル開発はスピーディーさを重視して、必要な機能単位でプロジェクトを分割し、分割したプロジェクトごとに各チームが要件定義・設計・開発・テストまでを一貫することが特徴です。
アジャイル開発では、2~3週間程度の短い期間で開発工程を繰り返し、少しずつ新たな機能を追加していくという流れが一般的となります。
アジャイル開発とDevOpsの大きな違いは、その概念です。アジャイル開発はスピーディーさを重視した開発モデルを指すのに対し、DevOpsはこのような開発モデルを実現するための組織体制となることを理解しておきましょう。
1-2. DevOpsのメリット
DevOpsを導入してシステム開発を行うことには、下記のようなメリットが挙げられます。
メリット(1)開発スピードが向上する |
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DevOpsの導入によって開発チームと運用チームの連携を密にすることで、情報共有や方針決定のスピードも向上し、結果としてユーザーニーズに対応した新たな機能のリリースやバグ修正も迅速化します。 |
メリット(2)システムの安定稼働につながる |
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DevOpsは従来の開発サイクルとは違い、短いサイクルで開発を繰り返すため不具合・バグを発見しやすくなります。加えて、ツールなどを用いて作業を自動化させられれば、ヒューマンエラーのさらなる予防にもつながり、結果としてシステムの安定稼働も大いに期待できます。 |
メリット(3)業務の生産性が向上する |
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DevOpsを導入するとユーザーからのフィードバックも迅速に得られるようになり、仕様改善もスムーズに行えます。開発チーム・運用チームの無駄な作業も削減できるほか、フィードバック内容のスムーズな反映によってユーザーからの信頼性も向上するでしょう。 |
2. DevOpsの6つのライフサイクル
DevOpsプロセスに、明確な定義はありません。しかし、果たすべき役割が大きく異なる開発部門と運用部門が連携しながら開発業務を進めなければならないため、ある程度のサイクルを決定しておくことは非常に大切です。
ここからは、DevOpsの導入・実行における一般的な6つのライフサイクルについて紹介します。
1 | プラン |
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最初のプラン段階では、開発プロダクトにおけるユーザーニーズを明確にした上で、用件を定義します。その後、必要となる機能の洗い出し・フィードバック内容の収集・ロードマップ作成・各プロセスの実行計画などを行います。 |
2 | ビルド |
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開発されたプロダクトの実現に向けて、ファイル作成・配布パッケージの作成を行います。 |
3 | 継続的インテグレーション(CI)・継続的デリバリー(CD) |
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開発されたソースコードを管理し、ビルドとユニットテスト・インテグレーションテストを複数回実行しながら不具合・バグを細かにチェックします。 |
4 | デプロイ |
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継続的インテグレーションが完了し、実行可能となったファイルを本番環境としてユーザーが実際に利用できる状態にします。 |
5 | オペレーション |
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デプロイが完了した後は、オペレーションとしてアプリケーション・ソフトウェアのパフォーマンスを監視します。モニター対象には、アクセス数や応答時間、さらにCPU・メモリの使用率などが挙げられます。 |
6 | 継続的フィードバック |
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ソフトウェアリリース後は運用・保守とともに、ユーザーからのフィードバックを継続的に収集・分析できるようにします。届いたフィードバック内容にもとづき、プロダクトの改善に努めることも大切です。 |
前述の通り、DevOpsでは開発チームと運用チームが密に連携・コミュニケーションをとりながら開発を進めていくため、従来の開発手法に比べて開発スピード向上・ソフトウェアの品質向上につながります。加えて、各フェーズの実行に適切な自動化ツールを用い、さらに効率良く進めていくことも可能です。
3. DevOpsの実現に必要なもの
DevOpsはシステムの開発効率を高められるだけでなく、組織文化を構築するものでもあります。DevOpsに必要な考え方を浸透させるとともに、適切なツールを活用すれば開発の効率化・組織文化の構築は比較的容易に実現できるでしょう。
ここからは、DevOpsに必要な考え方と代表的なDevOpsツールをそれぞれ詳しく説明します。
3-1. DevOpsのための考え方
DevOpsに必要な考え方としては、下記の4つが重要とされています。
互いを尊重する(Respect) | ともに働く相手を心から思いやり、能力を評価する |
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互いに信頼し合う(Trust) | ともに働く相手を心から信頼し、業務を任せる |
失敗に対して健全な態度をとる(Healthy attitude about failure) | チャレンジには失敗が起こり得るものと考え、相手のミスを責めない |
相手を非難しない(Avoiding Blame) | 相手に非があると責めるのではなく、同じミスによる問題が生じないよう建設的に考える |
上記の考え方を、DevOpsによるシステム開発に携わるチームメンバー全員に浸透させることで、組織文化を構築・改善させていくことが可能です。組織文化そのものが構築・改善されれば、開発チームと運用チーム同士のさらなる密な連携につながり、システム開発にも良い結果をもたらすでしょう。
3-2. DevOpsに必要なツール
前述の通り、DevOpsによるシステム開発では、各プロセスの実行において適切な自動化ツールを用いることでさらなる業務効率化が期待できます。最後に、DevOpsに必要なツールを3つ紹介します。
●CI/CDツール
ビルドとユニットテスト・インテグレーションテストなど、CI/CDを全体的にコントロールできるツールです。ビルドと各テストを自動化でき、開発プロセスのスピード向上・コスト削減が期待できます。
●構成管理・自動化ツール
動作環境(インフラ)構築の記録やサーバー構成の管理、ファイル展開を自動化できるツールです。システムの一元管理・安定運用につながり、人的リソースの削減が期待できます。
●テスト自動化ツール
システム開発における単体テスト・結合テスト・アプリケーションテストといった各種テストを自動化できるツールです。不具合・バグの早期発見やヒューマンエラーの防止につながります。
まとめ
DevOps(デブオプス)とは、開発チームと運用チームが密に連携をとり、価値の高いシステムのスピーディーな開発を目的とした組織体制のことです。開発スピードの向上・システムの安定稼働・業務の生産性向上といったメリットがあり、多くのIT業界において注目されている方法論となります。
DevOpsはシステム開発の効率化だけでなく、組織文化の構築にも一役買います。組織文化の構築も目的にDevOpsを導入する場合は、必要な考え方とツールをチーム全体に浸透させることが大切です。
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