最終更新日:2023年06月07日 / 投稿日:2023年02月25日

プログラムの開発現場では、個々にプログラミングを行いそれらを結合した後に不具合が見つかってしまい、開発に影響が出るというケースがたびたび起こります。結合時の不具合をできるだけ早期に発見し、原因を突き止めるツールがCIツールです。

当記事では、CIツールの概要や導入メリット、導入時に何が必要なのかを詳しく解説します。プログラム開発に関わる人や開発工数の削減を目指している方はぜひ当記事を参考にし、CIツールの導入をご検討ください。

 

1.CIツールとは?

CIツールとは、コード変更とテストを定期的に繰り返し行うCI(継続的インテグレーション)の手法を具現化するためのツールです。これまで手動で行っていたコンパイル(プログラムコードを機械語に翻訳すること)や、ビルド(実行可能なファイルを作成すること)、テストなどの作業を自動化できます。CIツールを導入すれば開発者の生産性が上がり、より効率的な開発につながります。

また、CIツールは定期的にシステムのチェックを行うため、バグの早期発見が可能です。テストを繰り返すことで不具合が次々と発見でき、品質が向上します。

 

1-1.CIツールがないと?

CIツール導入前は開発者たちが個々にプログラミングし、変更点をマージ(結合)していました。従来の手法だと、各々のプログラムコードに問題がなくても、結合テストをしたときにシステムが動かなくなるリスクがあり、開発が止まってしまうなどの問題が発生します。結合テストで問題が発覚すれば、原因の解明や影響範囲の特定、プログラムの修正に多くの時間と手間がかかります。

また、個別にプログラミングするため、プログラムのコード品質も安定しません。修正によって最新バージョンのプログラムの品質が低下するデグレードも、発生する可能性が高くなります。

CIツールを導入すれば、共有のリポジトリ(貯蔵庫)にプログラムコードをアップロードすることで、自動でテスト実行されます。バグが発生しても原因を解明する手間がなく、迅速な対応が可能です。プログラムの品質も安定し、デグレードが発生するリスクも減らせます。
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2.CIツールの導入メリット3つ

企業がCIツールを導入すると、「開発工数の削減」「運用ルールの明確化」「品質の向上」の3つのメリットが得られます。開発にかける時間や手間を少なくして生産性を向上させたい場合は、CIツールの導入を検討してみましょう。

ここでは、3つのメリットについて詳しく解説します。

 

2-1.開発工数の削減

CIツールの導入によってプログラムコードを頻繁にチェックすることで、開発工数を削減できます。

従来はソフトウェア開発の終盤でバグが発生すると、前の段階にさかのぼって対応しなければなりませんでした。しかし、CIツールはバグを早期発見でき、さかのぼっての対応を避けられるため、開発工数やエンジニアの負担を減らせます。

また、CIツールで自動的に結合テストが行われるため、問題に早期に気付くことも可能です。チーム開発における作業の競合を防ぐと開発効率が改善され、納品までの期間を短くできます。

 

2-2.運用ルールの明確化

CIツールの導入によって開発作業が自動化すると、開発プロセスが整備されて明確な運用ルールを設定できます。運用ルールがないと、開発が個々にゆだねられてシステムの品質がバラバラになるだけでなく、作業の競合やバグの発生などの問題から開発の遅れを引き起こす恐れがあります。

開発をスムーズに進めるためにも、運用ルールの明確化は必須です。従来は手動で各々が行っていたコンパイル・ビルド・テストをCIツールで自動化することで、プロセスがルール化され、運用方法が分かりやすくなります。運用ルールがあれば、開発チーム全員が同じ認識を持って開発に取り組めます。

 

2-3.品質の向上

CIツールを導入してプログラムの問題点を解消していけば、システムの品質向上につながります。手動テストのように、品質管理への認識や考え方の相違によって、実行者ごとに品質がバラバラになる心配がありません。

また、CIツールは一貫した基準をもとに自動テストを実行するため、問題点を確実に見つけられます。手動テストでは問題点を見落とす恐れもありますが、CIツールで定期的にチェックを行えばバグの確実な早期発見が可能です。CIツールで何度もテストして改善を繰り返していけば、次第にシステムの品質が高まっていきます。

 

3.CIツールの導入に必要な条件は?

CIツールの導入は非常にメリットが多いものの、導入するにはいくつかの条件があります。条件は、「テスト自動化」「バージョン管理」「CIサーバー」の3つです。必要な条件をきちんと揃えて、CIツールを導入しましょう。

ここでは、3つの条件について詳しく解説します。

 

3-1.テスト自動化を行っている

CIツールを導入するには、テスト自動化を行っている必要があります。サービス品質を維持するには定期的なテストが必要であり、効率よくテストを行うには自動化が欠かせません。単体テスト・結合テスト・負荷テストなどを自動化することで、精度の高いテストを素早く実行できます。想定外の動作やバグを検知し、開発が終盤まで進む前に問題を解消可能です。

テストを自動化すれば、1週間や1か月といった短い開発サイクルを繰り返すアジャイル型開発ができるようになります。短期間でシステムをリリースしていくためにも、プログラムコードに問題がないか素早くチェックするテスト自動化は必須です。

 

3-2.バージョン管理を行っている

CIツールの導入には、いつ・誰が・何を・どのように変更したかという履歴を記録するバージョン管理が必要です。バージョン管理をしておくと、修正前のファイルに復元したり、変更前後で内容を比較したりすることができるため、問題が見つかったときに素早く対応ができます。

プログラムのバージョン管理には、バージョン管理システムを導入するとよいでしょう。ファイル数や更新回数、更新者が増えた場合でも、正確にバージョンを把握できます。

また、バージョン管理をすれば誤って古いバージョンのファイルを修正し、システムの品質を落とすデグレードなども防げます。バージョン管理は、ヒューマンエラーのリスクを減らすためにも重要です。

 

3-3.CIサーバーを用意する

CIツールを導入するには、ツールをセットアップするCIサーバーが必要です。CIツールの使用には負荷がかかるため、処理を問題なく行えるスペックのCIサーバーを用意しましょう。処理を十分に行うには、最低でも8GBのCIサーバーが求められます。なお、クラウドサービスを利用してCIツールを利用する場合は、CIサーバーの設置は不要です。

CIサーバーは、ビルドやテストなどのルールを詳細に設定できます。例えば、あるリポジトリに置かれたファイルは、ビルドはしてもテストは行わないなどの制御が可能です。また、異なるビルドでタスクを同時に実行し、テストプロセスを効率化することもできます。

 

まとめ

CIツールとは、「継続的インテグレーション」を行えるツールのことで、コードの変更とテストを自動的に反復して行う手法を指します。CIツールの導入により、開発工数の削減やプログラムの品質向上につながるだけでなく、開発現場の運用ルールの設定も行えます。不具合の早期発見や、原因の特定をスムーズに行いたい場合は、導入を検討するとよいでしょう。

ただし、CIツールを導入するには、テストの自動化を行っている必要があります。CIサーバーが必要なケースもあり、導入コストがかかるのも注意点の1つです。効率化によりコスト面の問題は解消できる可能性もあるため、テストの自動化とともにCIツールの導入も検討してみましょう。

監修:六元素情報システム株式会社
監修
六元素情報システム株式会社 ATgoチーム

六元素情報システムは、システム開発現場で培った高い技術力と実務経験を持つ企業です。その知見を活かして開発したテスト自動化ツールATgo(特許6830701号)の提供を通して、日本のシステム開発における生産性向上と品質向上に貢献します。

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