最終更新日:2023年06月12日 / 投稿日:2022年07月19日

テストの自動化は、効率を重視したいソフトウェア開発の現場で欠かせないものです。当記事では、テスト自動化の概要やメリット・デメリットを解説します。成功のポイントも把握して、テスト自動化を実施する際の成功確率を高めましょう。

昨今では、日常生活やビジネスのさまざまなシーンでソフトウェアが利用されています。 ソフトウェア開発に求められるクオリティも年々上がっていることから、開発現場ではテスト自動化への注目が高まっています。
しかし、テスト自動化を導入するだけで、必ずしもメリットを得られるわけではありません。 当記事では、テスト自動化の概要やメリット・デメリットに加え、自動化を成功させるためのポイントを解説します。 テスト自動化の導入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

1.テスト自動化とは?3つの種類

テスト自動化とは、ソフトウェアのテストにおける作業の全部または一部について、テスト用ソフトウェアを用いて自動化することです。基本的にはテストの「実行」にあたる部分が自動化の対象となるので、「ソフトウェアのテスト実行を自動化すること」という意味で使われる場合もあります。

テスト自動化には、テストの目的や ソフトウェアの性質によってさまざまな種類があります。テスト自動化の代表的な種類は以下の3つです。

ユニットテスト対象となるソースコードに合わせてテストコードを設計・実行してテストを行います。 テスト対象となるプログラムを直接実行できるので、システムが意図した通りに 動いているかを確認する際に向いている方法です。
APIテストアプリやモジュール間の接続をテストする方法で、主に結合テストに使用されます。
UIテストソフトウェアのユーザーが実際に行う操作を再現し、一連の動作確認をするテストです。 ユーザーインタフェース、エンドツーテストなどに使用します。

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1-1 テスト自動化が注目を集めている背景

テスト自動化が注目を集めている背景には、以下のような理由があります。

● スピード納品の定着

近年ではシステム開発のスピード感が重視され、短納期のプロジェクトが増加しています。 テストにかける時間を最小限に抑えたいという開発者のニーズから、作業効率の向上を狙える テスト自動化が注目されるようになりました。

● アジャイル開発の浸透

従来までは段階的な開発方法である「ウォーターフォール型」が一般的でしたが、最近では 開発工程を短サイクルで何度も繰り返す「アジャイル開発」の普及が加速しています。 アジャイル開発ではテストを複数回行うことになるので、自動化によって手間を省くことが可能です。

● ソフトウェアの高品質化

さまざまな場面においてソフトウェアが広く普及している現在、ソフトウェアに求められる品質は より一層高くなっています。
テスト自動化は、時間やコストをかけずにクオリティを上げる手法として 注目が集まっています。

1-2 テスト自動化の8原則とは?

テスト自動化の基本となる8原則の内容は、下記の通りです。

  1. 手動テストはなくならない
  2. 手動でおこなって効果のないテストを自動化しても無駄である
  3. 自動テストは書いたことしかテストしない
  4. テスト自動化の効用はコスト削減だけではない
  5. 自動テストシステムの開発は継続的におこなうものである
  6. 自動化検討はプロジェクト初期から
  7. 自動テストで新種のバグが見つかることは稀である
  8. テスト結果分析という新たなタスクが生まれる
テスト自動化研究会 「テスト自動化の8原則」より引用

ソフトウェアの品質向上を目指す上で、ユーザー側の使いやすさや満足度は欠かせない要素です。 しかし、自動テストではユーザビリティの正確な判断ができません。今後さらにテスト自動化が進んでも、 手動テストが完全になくなることはないでしょう。

また、テスト自動化を導入するのであれば、新たなテストケースの追加や修正など、テスト用 ソフトウェアの開発作業も継続的に行うことが必要です。導入後のメンテナンスを重ねることで、 自動テストの有用性がアップします。

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2 テスト自動化のメリット・デメリット

テスト自動化にはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。 テスト自動化を導入する際には過度な期待を寄せず、メリット・デメリットのそれぞれを 十分に理解した上で利用しましょう。

以下では、テスト自動化のメリット・デメリットについて解説します。


2-1 メリット1 : コストを抑えたリスクヘッジができる

ソフトウェア全体の品質保証を手動テストによって行う場合は、多額の費用が必要です。 そのため、多くのソフトウェアでは保証範囲が限定されていますが、保証範囲外のトラブルが 影響して重大な障害を引き起こした事例もあります。
テスト自動化を導入すれば、ソフトウェア全体の品質保証が 低コストで実現できます。また、手動テストと比較するとテストにかかる時間も 大幅に短縮できるので、作業効率を上げられる点もメリットの1つです。

2-2 メリット2 : 問題点をすぐに発見できる

ソースコードを作成するたびに自動テストを行うことで、問題点をすぐに検出できます。 開発作業のプロセスの1つとして自動テストの実行を組み込んでおけば、不具合を 見落とすことなく早急な対応が可能です。

手動テストはテスト自体も人間の手で実施するので、ミスが発生しやすいという課題があります。 時間とコストをかけてテストを行っても、必要なテスト項目が抜けていたり、 問題を見落としたりしては意味がありません。自動テストを活用することで、 正確な作業によって問題点の早期発見が実現します。

2-3 デメリット1 : かえってコストが増える可能性がある

テスト自動化によるコスト削減は、高速開発が求められる現場で品質保証にも力を入れたい場合や、 保証範囲外とされていた部分を効率的にテストしたい場合に効果を発揮します。
テスト自動化の導入にもコストが必要であり、テスト用ソフトウェアの開発から完成後のメンテナンス 費用まで、その内容はさまざまです。そのため、導入によるメリットが少ないケースでは、テスト自動化が かえってコストを増大させる要因にもなり得ます。

2-4 デメリット2:保守運用が前提となる

自動テストは開発したら終わりではなく、導入後にもメンテナンスやアップデートが必要です。たとえば、テスト対象となるソフトウェアに新機能が追加された場合は、新機能に対応する新たなテスト内容を追加しなければなりません。
自動テストの開発・導入のみに着目していると、テスト対象のソフトウェアにアップデートが行われた場合などに、自動テストをうまく利用できなくなります。開発当初のテストコードだけが残らないよう、導入時に保守運用の体制を整えておくことが必要です。

3 テスト自動化を成功させるためのポイント

テスト自動化は必ずしもメリットを得られるわけではなく、導入が失敗に終わるケースもあります。失敗を防ぐためには、事前に成功のためのポイントを把握しておくことが重要です。
ここでは、テスト自動化を成功させるための3つのポイントについて詳しく解説します。

3-1 テスト自動化の目的を決める

テスト自動化のメリットは数多くありますが、実際に導入の成果を得られるかどうかは、それぞれのケースや環境ごとに異なります。「コストカットが叶う」「テスト業務を効率化できる」のような漠然としたイメージで導入を決めず、自動化の目的を明確にしましょう。
導入前の事前準備として、テスト自動化によって達成したい目標は何か、そのためにどのようなプロセスを踏むべきかなど、具体的な計画を立てるようにしてください。また「5年以内に自動化を完了する」のように、自動化そのものが目標とならないよう注意しましょう。

3-2 すべてを自動化しようとしない

テスト自動化の導入にあたって、自動化する範囲の選定は非常に重要です。すべてを自動化の対象とすればよいわけでなく、目的に合わせた最適な範囲を検討する必要があります。
たとえば、コストカットを目指して自動化を導入する場合は、毎回同じ手順で実施するテストや、頻繁に行うテストのみを対象とすることが効果的です。コスト削減のメリットを得やすい範囲に絞ることで、失敗のリスクを低くできます。

3-3 目的に適したテスト自動化ツールを選ぶ

テスト自動化ツールにはさまざまな種類があり、それぞれで特徴や得意分野も異なります。 自動化を成功させるためには複数のツールを比較して、目的に合った製品を見極めることが必要です。人気の高いツールが自社のソフトウェアに適しているという保証はないので、体験版を利用して相性を確認しておくことがポイントです。
また、自動化の過程が簡単であることや正確な結果を得られることはもちろん、新しいOSバージョンへの対応スピード、他ツールとの連携の柔軟性などにも注目しましょう。

まとめ

テスト自動化とは、ソフトウェアテスト作業の全部または一部を自動化することです。テスト自動化は、ソフトウェア開発の納期が短くなったこと、求められるクオリティが高くなったことなどを背景に注目を集めています。
テスト自動化を導入するメリットは、低コストでのリスクヘッジを実現できること、問題点の早期発見が可能であることです。しかし、自動化の導入はその後の保守運用が前提であり、導入方法によってはかえってコストが増大する可能性も考えられます。
テスト自動化を成功させるためには、目的を明確にした上で自動化範囲を決定し、自社ソフトウェアに最適なツールを選びましょう。

監修:六元素情報システム株式会社
監修
六元素情報システム株式会社 ATgoチーム

六元素情報システムは、システム開発現場で培った高い技術力と実務経験を持つ企業です。その知見を活かして開発したテスト自動化ツールATgo(特許6830701号)の提供を通して、日本のシステム開発における生産性向上と品質向上に貢献します。

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